オンラインFPSで敵に遭遇!撃ち合いになった瞬間、ありえない速度と精度でヘッドショットを決められてしまった…。
多くのプレイヤーが一度は「チーター」に遭遇し、理不尽な敗北を経験したことがあるのではないでしょうか。
敵の位置が丸見えになる「ウォールハック」、自動で照準を合わせる「エイムボット」。
これらのチートは残念ながら多くのゲームで問題になっています。
しかし、ここで一つの疑問が浮かびます。
「なぜ、RPGなどでよくある『HPが減らない』『無敵』といった最強のチートはFPSには存在しないんだろう?」
今回は、この素朴な疑問の答えを、オンラインゲームの基本的な仕組みと共にわかりやすく解説していきます!
データは「サーバー」がガッチリ管理しているから
それは、オンラインゲームのデータの管理方法に答えがあります。
オンラインゲームは、大きく分けて2つの要素で成り立っています。
- クライアント
あなたのPCやゲーム機のこと。あなたの操作をサーバーに送り、サーバーから送られてくる情報を画面に映し出す役割。
- サーバー
ゲーム運営会社が管理する高性能コンピューター。ゲーム世界のルールそのものであり、全プレイヤーのデータ(位置、HP、所持アイテムなど)を管理・処理する審判役。
そして、プレイヤーの体力(HP)のような、ゲームの公平性に関わる超重要データは、このサーバーが鉄壁の守りで管理しているのです。
サーバーという名の絶対的な審判
もしあなたがチートツールを使って、自分のPC(クライアント)上で「HP:99999!絶対に減らない!」という風にデータを無理やり書き換えたとします。
しかし、それはあなたの画面上でしか反映されない「見せかけ」の無敵でしかありません。
- 敵プレイヤーがあなたを撃つ(敵のクライアントから「撃った」という情報がサーバーへ)
- サーバーが弾の軌道を計算し、「あなたのHPに命中。ダメージ発生」と判定する
- サーバーが「あなたのHPは残り0です」という絶対的な事実を、あなたのクライアントに送りつける
- あなたのPCは、サーバーの命令に従い、あなたのキャラクターを画面上で死亡させる
つまり、どれだけ自分のPCで「俺は無敵だ!」とデータを偽装しても、ゲーム世界の神であるサーバーが「いいや、君のHPは0だ」と判定すれば、それに逆らうことはできないのです。
これは、オンラインRPGで不正にアイテムを増やしたり、通貨を偽造したりするのが極めて難しいのと同じ理屈です。
ゲームの根幹を揺るがすデータは、プレイヤーの手が届かない場所で厳重に管理されています。
なぜエイムボットやウォールハックはなくならないの?
その通りです。
これらのチートがなくならない理由は、サーバーの重要データを直接書き換えるのではなく、クライアント側で処理される情報を盗み見たり、操作を乗っ取ったりするという、巧妙な手口を使っているからです。
ウォールハックの仕組み
快適なゲームプレイのため、サーバーは実は「壁の向こうにいる敵」の位置情報なども、ある程度あなたのPCに「こっそり」送ってきています。
これは、角を曲がった瞬間に敵がワープしたように現れるのを防ぐためです。
データ的にはウォールハックのように敵が移動しているのが”わかる”のですが、プレイヤーの画面には壁の向こうにいる敵は見えないようになっています。
ウォールハックは、このPC内にある「本来は見えないはずの敵の位置情報」を不正に盗み出し、画面に無理やり表示させてしまうチートなのです。
エイムボットの仕組み
エイムボットは、ウォールハックと同じようにして手に入れた敵の位置情報に向かって、「マウスを動かしてクリックする」という操作をプログラムが自動で行うチートです。
サーバー側から見ると、これは「人間離れしたエイムの上手すぎるプレイヤー」の操作と区別がつきにくく、検知が難しいという側面があります。
まとめ
今回は、FPSゲームに「無敵」チートが存在しない理由について解説しました。
- 無敵チートがない理由
HPなどの重要データはサーバーで管理されており、プレイヤー側での改ざんが不可能だから。 - エイムボット等が存在する理由
クライアントに送られてきた情報を盗み見たり、入力を乗っ取ったりする仕組みだから。
派手で強力な「無敵」チートが簡単には作れないのは、ゲームの公平性を守るための開発者の素晴らしい設計のおかげです。
一方で、より巧妙なウォールハックやエイムボットといったチートとの戦いは、今この瞬間も続いています。
開発者はサーバーの守りを固めるだけでなく、プレイヤーのPC側で動く不正なプログラムを検知する「アンチチートシステム」を進化させ、日夜チーターとの攻防を繰り広げているのです。
快適で公平なゲーム環境を守るため、私たちプレイヤーもチートには手を出さず、疑わしいプレイヤーは報告機能を活用して、クリーンな戦いの場を守っていきたいですね。