VALORANTは、緻密な戦略と正確なエイムが求められる5v5のタクティカルシューター。
チームとの連携が勝利の鍵を握るこのゲームで、たった一人のプレイヤーによる暴言はチーム全体の士気を崩壊させ、敗北へと直結する最悪の要因となり得ます。
「なんでカバーしないんだよ!」「雑魚すぎ」
ボイスチャット(VC)から聞こえてくる心ない言葉に、集中力を乱され、楽しむ気持ちを失い、怒りや無力感に襲われた経験は、多くのプレイヤーが持っているのではないでしょうか。
この記事では、そんな不快極まりない「暴言厨」に遭遇してしまった際に、自分の大切なメンタルを守り抜き、その試合を無駄にせず、かつ長期的な自分の成長に繋げるための、具体的で詳細な対処法を解説していきます。
絶対に「言い返さない」「反応しない」
まず、最も重要な大原則からお伝えします。
それは「決して言い返さない、反応しない」ということです。
人間は、理不尽な非難を受ければ反論したくなるのが自然な感情です。
しかし、暴言を吐く相手に対して、あなたの正論や反論は一切通用しません。
彼らの多くは、建設的な議論を求めているのではなく、相手を言い負かすことや、他人が反応すること自体を楽しんでいるからです。
あなたが感情的に反応すれば、彼らの思う壺です。
口論はヒートアップし、貴重な試合時間を無駄にし、あなただけでなく他の味方の集中力まで削いでしまいます。
結果、チームの雰囲気は最悪になり、パフォーマンスは低下する。
そこに何のメリットもありません。
暴言は「雑音」です。
道端で鳴いているカラスの声にいちいち反応しないのと同じように、冷静に、機械的に対処することが、自分を守るための第一歩となります。
即時ミュートで精神的な安全地帯を確保する
暴言という「雑音」を遮断する最も効果的な手段、それがミュート機能です。
これはためらう必要の一切ない、あなたの権利です。
▼ミュートの具体的な方法
- 試合中に
Tab
キー(またはEsc
キー)を押し、スコアボード(対戦状況)を表示します。 - 暴言を吐いているプレイヤーを探し、右側にある「スピーカー」のアイコンをクリックします。これでVCが聞こえなくなります。
- 暴言がテキストチャットにも及ぶ場合は、その隣にある「テキストチャット」のアイコンもクリックし、完全に情報をシャットアウトしましょう。
「でも、報告が聞こえなくなるのは不安…」
チームゲームである以上、味方からの情報が重要であることは間違いありません。
そのため、ミュートすることに抵抗を感じる真面目なプレイヤーほど、この点で悩んでしまいます。
しかし、ここでもう一度冷静に考えてみましょう。
味方を罵倒し、チームの士気を下げることにリソースを割いているプレイヤーが、果たして「チームを勝利に導くための、冷静かつ客観的で、有益な報告」をしてくれるでしょうか?
答えは、ほぼ「ノー」です。
彼らの口から発せられる言葉は、たとえ敵の位置情報だったとしても、怒りや苛立ちのフィルターがかかっています。
不正確な情報や、あなたへのさらなる非難が続く可能性の方が圧倒的に高いでしょう。
不快な暴言を聞き続けることで生じる精神的ストレスや集中力の低下というデメリットと、得られるかもしれない不確かで低品質な情報というメリットを天秤にかければ、どちらを選ぶべきかは明白です。
ミュートは、情報を遮断する行為ではありません。
有害なノイズをフィルタリングし、クリアな思考を保つための戦略的な判断なのです。
未来の自分のために「通報」を義務と心得る
精神的な安全を確保したら、次に行うべきはRiot Gamesへの通報(レポート)です。
「通報したって、どうせ何も変わらない」と感じ、面倒に思えるかもしれません。
確かに、通報してもその場で即座に相手がBANされるわけではないため、効果を実感しにくいのは事実です。
しかし、あなたのその一手間が、VALORANTのコミュニティ全体の健全化に繋がり、ひいては未来のあなたが快適にプレイできる環境を作ります。
Riot Gamesのペナルティシステムは、プレイヤーからの報告データを重要な判断材料としています。
一件一件は小さくとも、それらが積み重なることで、悪質なプレイヤーはチャット禁止やアカウントの一時停止、悪質な場合は永久追放といった厳しい処罰の対象となります。
▼通報の具体的な方法
- 試合中
スコアボードを開き、該当プレイヤーの名前の右側にある「通報」ボタンをクリックし、理由(例:「暴言ボイスチャット」「ヘイトスピーチ」など)を選択します。
- 試合後
リザルト画面の「対戦履歴」タブから該当の試合を選び、スコアボードから同様に通報します。
これは、暴言プレイヤーへの復讐ではありません。
より良いゲーム環境を維持するための、コミュニティの一員としての「義務」だと考え、冷静に、淡々と実行しましょう。
意地でもその試合を投げ出さない!
さて、ここからが最も重要です。
暴言厨をミュートし、通報も済ませた。
しかし、一度下げられたモチベーションは簡単には戻らず、「もうこの試合はどうでもいいや」と投げやりになってしまいがちです。
この「投げやりなプレイ」こそが、あなたが被る最大の損失に繋がります。
なぜなら、VALORANTのランクシステムは、試合の勝敗だけでなく、ラウンド取得数や個人のパフォーマンスも加味して内部レート(MMR)を算出しているからです。
投げやりなプレイで一方的に惨敗すると、あなたのMMRは大きく低下します。
MMRが下がると、その後の試合で勝っても得られるランクポイントが減り、負けた時の損失が増えるという「ランクが上がりにくい状態」に陥ってしまうのです。
そこで、試合の目的を「勝利」から「自分個人の成長」へと再設定しましょう。
1. 「最高の逆境トレーニング」と捉える
この試合は、もはや通常のランクマッチではありません。
いわば「重りを背負ったトレーニング」です。実質4v5のような不利な状況は、あなたの基礎スキルを磨き上げる絶好の機会となります。
- デュエリストなら
味方の援護が期待できない状況で、いかにしてエントリーし、1ピックをもぎ取るかの練習。
- コントローラーなら
少ない人数でサイトを守り切るための、効果的なスモークや遅延アビリティの使い方の練習。
- センチネルなら
敵のラッシュを一人でいかに食い止めるか、キルよりも時間を稼ぐ立ち回りの練習。
「この試合でK/Dを1以上にする」「ヘッドショット率を20%以上にする」など、具体的な個人目標を設定することで、モチベーションを維持しやすくなります。
2. 「MMRダメージコントロール」に徹する
試合に勝つことが難しくても、「負け方」をコントロールすることは可能です。
3-13のような惨敗と、11-13の惜敗では、MMRへの影響も異なります。
- 1ラウンドでも多く取る
負けが濃厚でも、最後まで諦めずに1ラウンドでも多く取ることで、MMRの低下を最小限に食い止めます。
- 無駄なデスを避ける
投げやりなプレイでデスを重ねるのではなく、しっかりとスキルを使い、有利な撃ち合いを心がけ、生存時間を延ばすことを意識します。
これは、将来の自分がランクを上げるための、いわば「投資」のような考え方です。
少しでも内部レートが下がらないように、むしろ内部レートが上がるように頑張ってみましょう!
3. 「残された味方との連帯」を意識する
忘れてはならないのが、あなた以外にも、暴言の被害を受けているであろう他の味方の存在です。
彼らもまた、不快な思いをしながら勝利を目指しています。
暴言厨と同じレベルに落ちて試合を壊すのではなく、残された味方と協力する姿勢を見せましょう。
「ナイス!」「ドンマイ!」「ありがとう」といったポジティブな声かけや、丁寧な報告をあなたが率先して行うことで、崩壊しかけたチームの雰囲気を立て直せる可能性すらあります。
最終手段としての「降参」
これらの手段を尽くしても、どうしても精神的に耐えられない、プレイを続けること自体が苦痛だという場合は、無理をする必要は一切ありません。
VALORANTは楽しむためのゲームであり、あなたのメンタルヘルスが最優先です。
チーム内で降参投票が始まったら、ためらわずに賛成票を投じましょう。
これは「敗北」ではなく、自分の時間と精神衛生を守るための「戦略的撤退」です。
その試合で失うわずかなランクポイントよりも、あなたが受けるストレスの方がはるかに大きな損失です。
まとめ
暴言は、あなたのVALORANT体験の質を著しく低下させるウイルスのようなものです。しかし、それに対するワクチンは、あなた自身が持っています。
【暴言厨への完全対処マニュアル】
- 心を無にして反応しない:相手の土俵に乗らない。
- 即時ミュートで自己防衛:有害な情報を完全にシャットアウトする。
- 未来のために機械的に通報:コミュニティの健全化に貢献する。
- 目的を「自己成長」に再設定:試合を無駄にせず、逆境を糧にする。
- どうしても辛ければ降参を選ぶ:自分のメンタルを最優先する。
これらの対処法を身につけ、暴言プレイヤーというノイズにあなたの貴重な時間を支配されることなく、賢く、そして楽しくVALORANTをプレイし続けてください。