この記事では、ALGS公式ルールに基づく移籍期間や多数決システムなど、ロースター(選手登録)管理について解説します。
チームメンバーの変更と多数決のルール
大会に出場するチームは、3名から最大4名の選手と、1名のコーチ(任意)で構成されます。チームのメンバーを変更したり、誰かを外したりする手続きは、決して一人のリーダーの独断だけで行えるものではありません。
- 公式ルールでは、メンバーをチームから外す場合やチームキャプテンを変更する場合、チーム内の「多数決」が必要であると厳格に定められています。
さらに、この投票権を持つのは「直近の大会で20%以上の試合に参加した選手のみ」という条件が設定されています。
つまり、試合にほとんど出ていない補欠選手やコーチが結託して、メインで戦っている選手を不当に追い出すようなことはできない仕組みになっています。
もし票が同数に割れた場合は、チーム作成時に登録されたキャプテンが最終決定権を持ちます。ただし、選手本人が自発的にチームを離脱したいと申し出た場合は、多数決を取る必要はなく、速やかに脱退処理が行われます。
これらの変更はすべて専用の大会運営サイト(Battlefy)を通じて申請され、運営の承認が下りて初めて正式なメンバー変更として公表されます。
移籍期間とロースターロック
選手を自由に引き抜いてチームを強化し続ければ良いと考えるかもしれませんが、ALGSでは大会期間中の無秩序な移籍を完全に封じる「ロースターロック(登録メンバーの固定)」という厳しいシステムが採用されています。
- 例えば、プロリーグ(Split 1およびSplit 2)に出場している期間中、選手は自由に他のチームへ移籍することができません。
メンバーの追加や削除が許されるのは、各スプリットの途中にわずか数日間だけ設けられる「移籍期間(トランスファーウィンドウ)」と呼ばれる特別なタイミングのみです。
また、誰もが参加できるチャレンジャーサーキット(CC)やオープン大会であっても、各トーナメントが始まる週の水曜日など、明確な期限をもってロースターがロックされます。この期限を1分でも過ぎてしまうと、その大会が終了するまで一切のメンバー変更や追加はシステム上受け付けられなくなります。
一人の選手が同時に複数のチームに所属することも原則として禁止されており(プロリーグで試合に出ていない選手がアマチュア大会に出るなどのごく一部の例外を除く)、どの選手がどのチームで戦うのかは、常に透明性が保たれた状態で管理されています。
自由にメンバーを変更できない厳格なシステムの背景
なぜここまで厳密に移籍のタイミングが制限され、メンバー変更の手続きが複雑化されているのか。それは、莫大な賞金と世界大会への切符がかかる競技において、「ポイントの帰属」と「競技の公平性」を物理的に守るためです。
ALGSにおけるシード権や世界大会へ進むためのチャンピオンシップポイントは、単なる「チームの名前」に対して与えられているわけではありません。「そのポイントを稼いだ具体的なメンバー構成」に強く紐付いています。
公式ルールでは、プロリーグの招待チームや予選を勝ち上がったチームに対し、「以前の大会に出場したコアメンバー(少なくとも2名など)を必ず維持しなければならない」という要件を課しています。
もし自由にメンバー変更を許してしまうと、資金力のある組織が世界大会の直前になって、予選を勝ち抜いた無名チームの出場権(ポイント)だけを買い取り、全く別人のスター選手3人を集めたドリームチームに入れ替えて出場するといったことが物理的に可能になってしまいます。
これは、長い期間をかけて予選から努力してきた他のプレイヤーに対して極めて不公平であり、大会そのものの信頼を根底から破壊する行為です。
ロースターロックや多数決のシステムは、選手の都合を縛り付けているのではなく、不正な買収や不当な解雇を防ぎ、「共に戦って権利を勝ち取った選手たち自身」が確実に次のステージへ進めるよう、システム側から強制的に保護しているのです。
まとめ
- メンバーの除外には直近の試合に出場した選手による多数決が必要であり、一部の権力者によって不当にクビにされないよう守られている。
- 移籍や追加ができる期間(トランスファーウィンドウ)や期限(ロースターロック)は厳格に決まっており、大会直前の不正なメンバー引き抜きや出場権の乗っ取りを防いでいる。