VALORANTの試合中、味方との連携や、時には敵チームとのコミュニケーションのために全体チャットを使いたい場面は数多くあります。
しかし、いざ「Shift + Enter」を押した瞬間、チャット欄が開く代わりに画面の隅に「clipping completed」という謎のメッセージが表示され、チャットが打てずに困惑した経験はありませんか?
特にクラッチシーンの直後や、戦術を伝えたい重要な局面でこの問題が起きると、大きなストレスを感じてしまいますよね。
「VALORANTのバグ?」「もしかしてPCの調子がおかしい?」と不安に思うかもしれませんが、ご安心ください。
この問題は、VALORANT自体に原因があるわけではなく、PCにインストールされている別のソフトウェアとの「キーボードショートカットの競合」が原因です。
この記事では、なぜこの現象が起きるのか、どのソフトウェアが原因である可能性が高いのか、そしてどうすれば解決できるのかを、PC初心者の方にも分かりやすく徹底的に解説していきます。
なぜ「Clipping Completed」と表示されるのか?
このメッセージが表示される根本的な原因は、「他のソフトウェアが、VALORANTよりも先に『Shift + Enter』というキー操作を横取りしている」からです。
多くのゲーマー向けソフトウェアには、ゲームプレイのハイライトシーンを簡単に録画・保存するための「クリップ機能」が搭載されています。
「clipping completed」というメッセージは、まさに「クリップの保存が完了しました」という意味です。
つまり、あなたがチャットを打つつもりで押したShift + Enter
が、バックグラウンドで起動している録画ソフトの「クリップ保存」の命令として認識されてしまっているのです。
VALORANTにキー操作が届く前に横取りされてしまうため、ゲーム内のチャット機能が作動しない、という仕組みです。
犯人は誰だ?代表的なソフトウェアと対処法
それでは、具体的にどのソフトウェアがこの問題を引き起こしている可能性が高いのでしょうか。
代表的なものを4つと、その解決策を詳しく見ていきましょう。ご自身のPC環境に当てはまるものを確認してみてください。
1. NVIDIA GeForce Experience (ShadowPlay)
NVIDIA製のグラフィックボード(GeForceシリーズ)を搭載したPCを使用している場合、最も可能性が高い原因がこの「GeForce Experience」です。
特に、その中に含まれる「ShadowPlay」という機能が、ゲーム画面の録画や配信、そしてクリップ作成を担っています。
解決策:ショートカットキーの設定を変更する
- まず、デスクトップ画面、またはVALORANTを起動した状態でキーボードの
Alt + Z
を押します。すると、画面上にGeForce Experienceのオーバーレイメニューが表示されます。 - 表示されたメニューの右側にある歯車のアイコン(設定)をクリックします。
- 設定メニューの中から「キーボードショートカット」を選択してください。
- ショートカットの一覧が表示されます。この中から
Shift + Enter
が割り当てられている機能を探します。多くの場合、「インスタントリプレイを保存」や「録画」といった項目に設定されています。 - 該当の項目を見つけたら、それをクリックします。新しいショートカットキーを入力する画面になるので、VALORANTで使わないような別のキーの組み合わせ(例:
Ctrl + Shift + F10
など)に変更するか、BackSpaceキーなどで設定を削除して空欄にしましょう。 - 設定を閉じ、VALORANTに戻って
Shift + Enter
で全体チャットが正常に開くか確認してください。
2. AMD Radeon Software (Radeon ReLive)
AMD製のグラフィックボード(Radeonシリーズ)をお使いの場合、AMDの提供するソフトウェアが原因である可能性があります。
NVIDIAのShadowPlayに相当する機能として「Radeon ReLive」があります。
解決策:ホットキーの設定を変更する
- デスクトップ上で右クリックし、メニューから「AMD Radeon Software」を選択して起動します。
- ソフトウェア画面の右上にある歯車のアイコン(設定)をクリックします。
- 設定画面の上部にあるタブの中から「ホットキー」を選択します。
- ホットキーの一覧が表示されるので、
Shift + Enter
が割り当てられている項目がないかを丁寧に確認します。 - 該当するものがあれば、その項目をクリックして別のキーに変更するか、設定を無効化してください。
- 設定を適用し、VALORANTで問題が解決したか試してみましょう。
3. Discord のクリップ機能
近年、原因として急増しているのがコミュニケーションツール「Discord」に搭載されたクリップ機能です。
Discordを起動したままVALORANTをプレイしている方は非常に多いと思いますので、ぜひ一度確認してみてください。
解決策:Discordのキー割り当てを変更する
- Discordのアプリを起動し、画面左下にある自分のユーザー名の右側にある歯車のアイコン(ユーザー設定)をクリックします。
- 左側の設定メニューをスクロールし、「アプリの設定」カテゴリの中にある「キー割り当て」を探してクリックします。
- 現在設定されているキー割り当ての一覧が表示されます。「アクション」が「クリップを保存」などになっている項目に、
Shift + Enter
が設定されていないか確認してください。 - もし設定されていたら、その項目の右側にある×ボタンを押して、キー割り当てを削除します。
- 念のため、同じくユーザー設定内の「クリップ」という項目も確認し、機能自体が不要であれば「クリップを有効化」のトグルをオフにしておくと、今後の誤作動も防げて安心です。
4. Windows標準機能「Xbox Game Bar」
Windows 10や11には、標準で「Xbox Game Bar」というゲーム録画機能が搭載されています。
意図せずこの機能のショートカットが有効になっている可能性も考えられます。
解決策:Windowsの設定からショートカットを変更する
- キーボードの
Windowsキー + I
を同時に押して、Windowsの「設定」画面を開きます。 - 左側のメニューから「ゲーム」を選択し、次に「Xbox Game Bar」をクリックします。
- 「キーボード ショートカット」という項目を探し、
Shift + Enter
が何らかの機能に割り当てられていないか確認します。 - もし割り当てられていたら、別のキーに変更するか、設定を削除してください。
もし原因のソフトが特定できない場合は?
上記のどれにも当てはまらなかったり、どのソフトが原因か見当もつかない、という場合の最終的な特定方法をご紹介します。
- タスクトレイを確認する デスクトップ画面の右下、時刻が表示されている隣にある「^」マークをクリックすると、バックグラウンドで起動しているソフトウェアのアイコン(タスクトレイ)が表示されます。この中に、見慣れない録画ソフトやゲーム支援ツールのアイコンがないか確認してみましょう。(例: Medal.tv, Overwolf, OBS Studioなど)
- タスクマネージャーで探す
Ctrl + Shift + Esc
を同時に押してタスクマネージャーを起動します。「プロセス」タブに表示されているアプリ一覧の中に、それらしい名前のソフトウェアがないか確認します。 - 一つずつ終了させて試す 怪しいと思われるソフトウェアをタスクトレイやタスクマネージャーから一つ終了させるごとに、VALORANTのカスタムゲームなどで
Shift + Enter
が使えるようになったかを確認します。これを繰り返すことで、原因となっているソフトウェアを特定できます。特定できたら、そのソフトウェアのホットキー設定を変更しましょう。
まとめ:快適なチャット環境を取り戻そう!
VALORANTで突然チャットが打てなくなる「clipping completed」問題は、ほとんどの場合、今回ご紹介したような外部ソフトウェアとのショートカットキーの競合が原因です。
まずはNVIDIA GeForce Experience、AMD Radeon Software、そしてDiscordの設定を重点的に確認してみてください。
多くの場合、これらの設定を見直すだけで問題は解決するはずです。
キーボードショートカットは、正しく設定すれば非常に便利な機能ですが、時として今回のような意図しないトラブルを引き起こすこともあります。
この記事を参考に原因を特定し、設定を修正することで、ショートカットキーの競合に悩まされることなく、快適なVALORANTライフを取り戻せるはずです。
味方との重要な連携報告や、時には素晴らしいプレイをした敵を称える「gg」のチャットで、さらにゲームを楽しんでください!