「次のラウンド、どうしよう…」「味方がバラバラに動いてしまう…」
VALORANTでIGLを担うプレイヤーなら、誰もが一度はこんな悩みにぶつかったことがあるでしょう。
IGLはチームの頭脳として勝利の鍵を握る、非常に重要でやりがいのある役割です。
しかし、その責任の重さから、何をすれば良いのか分からず、途方に暮れてしまうことも少なくありません。
この記事では、そんなIGLの悩みを解決し、あなたのチームの勝率を劇的に引き上げるための「IGLの教科書」をお届けします。
IGLとは何か?勘違いされがちな役割と最も重要な「3つの心構え」
まず、IGLの役割を正しく理解することから始めましょう。
IGLは単に「Aに行こう!」「Bラッシュ!」と叫ぶだけの司令塔ではありません。
チームの勝利という目標に向かって、戦略を立て、仲間を導き、時にはチームの精神的支柱となる「監督兼キャプテン」のような存在です。
具体的なテクニックを学ぶ前に、IGLとして成功するために不可欠な「3つの心構え」を胸に刻んでください。
- 1. 決断力を持つこと:「悪い作戦」は「作戦がない」より遥かにマシ
IGLにとって最大の敵は「迷い」です。ラウンド開始時に何も指示が出せず、チームがバラバラに行動してしまうのが最悪のパターンです。たとえその作戦が100点満点ではなかったとしても、5人全員が同じ意思を持って動くことで、連携が生まれ、勝機が見えてきます。まずは「決める」勇気を持ちましょう。あなたの決断が、チームの羅針盤になるのです。
- 2. 責任を引き受けること:「勝ちはチームのおかげ、負けはIGLのせい」
これはプロのIGLがよく口にする言葉です。このマインドセットを持つことで、常に謙虚に反省し、学び、成長し続けることができます。ラウンドを落とした時に「今のコールは良くなかったな、次はこうしよう」とすぐに切り替えられるIGLは、チームからの信頼も厚くなります。決して味方のミスを責めず、自分の判断を振り返る姿勢が、あなたを優れたリーダーへと成長させます。
- 3. ポジティブであること:IGLはチームのムードメーカー
VALORANTはメンタルが大きく影響するゲームです。IGLが不機嫌になったり、ため息をついたりすると、そのネガティブな雰囲気は一瞬でチーム全体に伝染します。不利な状況でも「ドンマイ!次取り返そう!」「まだいける!」と声をかけ、常にチームを鼓舞する存在でいましょう。良い雰囲気が、個々のスーパープレイを引き出し、逆転勝利を生む土壌となるのです。
なぜ上手いIGLは「購入フェーズ」に集中するのか?
もしあなたがそう感じたことがあるなら、それは非常に鋭い観察です。
この「メリハリ」こそが、IGL上達の大きな鍵を握っています。
購入フェーズの30秒間は、戦闘がなく、チーム全員が冷静に思考できる唯一の黄金時間です。
この時間を制する者が、ラウンドを制すると言っても過言ではありません。
なぜ購入フェーズに指示を出すことが重要なのか?
全員の認識を統一できる(共通認識の形成)
「このラウンドはAのコントロールを目標にしよう」「相手はエコだから、固まってラッシュに警戒」といった「ラウンドの設計図」をこの時間で共有します。これにより、5人全員が同じゴールに向かってスタートを切ることができます。試合が始まってからバラバラに指示するよりも、遥かにスムーズで強力な動きが実現します。
役割分担を明確にできる
「オーメンはAショートにスモークをお願い」「ジェットのエントリーに合わせて、スカイはドローンを出して」など、具体的な役割を事前に割り振ります。これにより、各プレイヤーは「自分は何をすべきか」を明確に理解し、迷いなく自分の仕事に集中できるのです。
精神的な準備ができる
事前に作戦を聞くことで、プレイヤーは心の準備ができます。「よし、今回はこの動きだな」と頭の中でシミュレーションする時間ができ、落ち着いてプレイに臨めます。
この30秒を有効に使い、チームという名の船の航路を定め、各クルーに役割を与える。
これが、購入フェーズにおけるIGLの最も重要な仕事なのです。
なぜ上手いIGLは「試合中」に黙るのか?
では逆に、なぜ試合が始まると上手いIGLは口数が減るのでしょうか。
それは、VC(ボイスチャット)という最も重要な情報伝達ツールを「温存」するためです。
試合中に黙るべき3つの理由
- 「音」という最重要情報を守るため
VALORANTは、敵の足音、スキルの使用音、リロード音、スパイクの設置音など、「音」から得られる情報が勝敗を左右するゲームです。IGLが常に喋っていると、味方はこれらの決定的な音を聞き逃してしまいます。クリアなVC環境を保つことは、IGLの隠れた責務なのです。
- プレイヤー個々の判断(マイクロプレイ)を尊重するため
IGLはあくまで大局的な作戦(マクロプレイ)を指示する役割です。目の前の敵との1対1の撃ち合いや、コンマ数秒の判断といった「マイクロプレイ」は、各プレイヤーのスキルと判断に委ねるべき領域です。IGLが「そこからピークしないで!」「右見て!」といった細かすぎる指示を出すと、かえってプレイヤーの判断を鈍らせ、思考を停止させてしまいます。信頼して任せることも、リーダーの重要な資質です。
- 本当に重要な指示を際立たせるため
普段は静かなIGLが、ラウンド中盤に「全員Bにローテート!急いで!」と力強くコールしたらどうでしょう?その指示の重要性と緊急性が際立ち、チームは即座に反応できます。常に喋っていると、どの指示が重要なのかが曖昧になり、指示の価値が薄れてしまうのです。
では、試合中のIGLの役割は?
試合中のIGLは「司令官」から「情報ハブ」へと役割を変えます。
味方からの報告(「Aに2人見えた」「ヘヴンにオペレーター」)を静かに聞き、頭の中に戦況マップを組み立てることに集中します。
そして、戦況が動く「転換点」が訪れた時、再び「司令官」として、簡潔かつ迷いのない指示を出すのです。
作戦変更の指示: 「敵、Aに寄りすぎてる。音を立てずにBに行こう!」
リテイクの号令: 「OK、全員でCTから入る。スカイのフラッシュからGO!」
時間管理の指示: 「残り30秒、サイトに入るよ!」
この静と動の使い分けこそが、洗練されたIGLの姿なのです。
勝率を劇的に上げる!IGLが持つべき「3つの引き出し」
優れたIGLは、状況に応じて使い分けられる戦術の「引き出し」を数多く持っています。
ここでは、勝率に直結する最も基本的かつ重要な3つの引き出しを紹介します。
引き出し1:攻めのコール
デフォルトを基本にする
毎ラウンド、ラッシュやセットプレイばかりでは、相手に対応されてしまいます。まずは各々がエリアをコントロールし、情報を集める「デフォルト」を基本の形にしましょう。敵の配置や人数が分かってから、攻める場所を決めるのがセオリーです。
ULTを起点に考える
「キルジョイのULTがあるからAサイトを攻めよう」「ソーヴァのULTでBの情報を取ってから決めよう」など、強力なアルティメットを起点に作戦を立てると、ラウンド取得率が格段に上がります。
柔軟なローテート判断
攻めているエリアが固いと感じたら、固執してはいけません。「Aは無理だ。すぐにBにローテート!」と素早く判断し、指示を出す柔軟性がIGLの腕の見せ所です。
引き出し2:守りのコール
敵の傾向を読んで適応する
「相手は毎ラウンドAラッシュしてくるな。次はAに3人寄せてみよう」「相手はゆっくりエリアを取ってくるから、少し前に出て情報を取ろう」など、相手の癖を読んで配置を変える指示(アダプテーション)を出しましょう。
明確なリテイクのコール
スパイクを設置された後こそ、IGLの真価が問われます。「焦らず、全員でまとまってからサイトに入ろう。ソーヴァのリコンを合図にGO!」といったように、リテイクの起点と手順を明確に指示することで、成功率が大きく変わります。
引き出し3:エコマネジメント(経済管理)
これはIGLの最も重要な仕事の一つです。
チームの武器やアビリティの状況を揃えることで、有利な撃ち合いを仕掛けることができます。
明確な購入指示
「次は全員でフルバイ(全力買い)」「今ラウンドはエコ(節約)」「ヴァンダルは無理だけどシェリフは買おう(ハーフバイ)」といった購入の指示を購入フェーズで明確に出し、チームの足並みを揃えましょう。敵の経済状況を予測する
「相手は2連敗してるから、次はおそらくエコだ。前に詰めてくる可能性を警戒しよう」と、相手の懐事情を読むことで、相手の行動を予測し、有利な状況を作り出せます。
IGL上達のための具体的な練習方法
理論を学んだら、次は実践です。以下の方法で、IGLスキルを磨いていきましょう。
プロの試合や配信を「IGL視点」で見る
ただ観戦するのではなく、「なぜ今この判断をしたのか?」「自分ならどうコールするか?」と考えながら見ることが重要です。世界トップクラスのIGL(FNCのBoaster選手など)の動きを研究し、判断の根拠を探ってみましょう。自分のプレイを録画して見返す(VODレビュー)
これが最も効果的な練習方法です。試合後に自分のコールを客観的に聞き返し、「あの場面、もっと早くローテートのコールができていれば…」「このエコ判断は間違っていたな」と具体的な反省点を見つけ、次に活かしましょう。恥ずかしいかもしれませんが、上達への一番の近道です。
小さなコールから始めてみる
いきなり全てを仕切ろうとする必要はありません。まずは「次のラウンド、Aにラッシュしませんか?」と提案するところから始めてみましょう。小さな成功体験を積み重ねることで、自信がつき、自然とコールできる範囲が広がっていきます。
仲間からフィードバックをもらう
一緒にプレイしている友人に、「今のIGL、どうだった?」「もっとこうした方がいいとかある?」と勇気を出して聞いてみましょう。自分では気づけなかった視点や改善点が見つかるはずです。
まとめ
IGLは決して簡単な役割ではありません。
多くの知識、冷静な判断力、そしてチームをまとめる人間性が求められます。
しかし、その分、自分の判断でチームを勝利に導けた時の喜びは、他のどの役割でも味わえない格別なものです。
最後に、IGLとして勝率を上げるために、まず意識すべき3つのことを再確認しましょう。
エコラウンドは絶対に全員で揃えること。
一つの作戦に固執せず、ダメだと思ったらすぐにローテートすること。
常にポジティブなコミュニケーションを心がけ、良いチームの雰囲気を作ること。
失敗を恐れず、この記事で学んだことを一つずつ試してみてください。
あなたの挑戦が、あなた自身を、そしてあなたのチームを、新たな勝利へと導くはずです。応援しています!