『終末ツーリング』の考察ブログ、今回は【埼玉・吉見百穴編】をお届けします。
まさかの地球外生命体の登場で、「終末化した理由」を考察する上では大きなターニングポイントとなる回です!
ヨーコとアイリの道のり
中禅寺湖で「謎の飛行物体」を目撃したアイリは、その正体が気になっていました。
そこで二人は、ツーリングのルートからは外れますが、光が消えていった埼玉方面へ向かうことにします。
道中、群馬・栃木・埼玉の県境が集まる『三県境』で、アイリは再びあの不思議な「音」を耳にします。
その音に導かれるようにして、二人は『吉見百穴』に辿り着きました。
吉見百穴
山の斜面に無数の穴が掘られた『吉見百穴』。
『吉見百穴』は6世紀頃の古墳時代に作られた横穴墓群、太平洋戦争中は軍需工場としても利用されていました。
二人はその横穴の一つを寝床に決め、その日は休むことにします。
その夜、アイリは「例の音」で目を覚ましました。
ヨーコを起こそうとしますが、ヨーコは寝ぼけていて起きる気配がありません。
仕方なく、一人で音のする方へ歩き出します。
そこには一匹の黒猫がおり、アイリはその猫をそっと抱きかかえました。
すると突然、放置されていた車のクラクションが鳴り響き、ライトが点灯。さらに信号機までもが点滅を始めます。
次の瞬間、その車が独りでに走り出し、橋の欄干を突き破って川へ飛び込んでいきました。
一連の怪奇現象に、冷静なアイリもさすがに不安を覚え、ヨーコのもとへ戻ろうとします。
しかしその瞬間、上空からスポットライトのような光が降り注ぎ、アイリを照らし出しました。
しばらくして光が消えると、そこには直径1~2mほどの謎の黒い球体が浮かんでいたのです。
様子を伺うアイリでしたが、抱いていた黒猫が腕から飛び出し、球体の中へと吸い込まれてしまいます。
球体がアイリを追いかけ始めたため、彼女は必死に逃げます。
なんとか吉見百穴の横穴に飛び込み、逃げ切れたかと思いきや—— 飛び込んだはずの横穴は、異質な空間へと繋がっていました。
宇宙へ行くアイリ
次の瞬間、アイリと黒猫は宇宙空間にいました。
壊れた人工衛星がアイリの横を猛スピードで通り過ぎていきます。
その時、アイリの頭の中に直接、誰かの声が聞こえてきました。
アイリはその“声の主”と対話を始めます。
すると景色が変わり、どこか遠い星の光景が映し出され、さらに場面が転換すると、今度は1500年前の地球が眼下に広がっていました。
宇宙人と地球の関係
吉見百穴の横穴から出てきたアイリにヨーコが驚きます。
アイリがいなくて外に探しに出たはいいものの、さっきまで自分がいた横穴からアイリが出てきたからです。
アイリは、異星人とした会話をヨーコに説明します。
異星人が初めて地球を訪れたのは約1500年前。
その際、当時の地球人と協力して吉見百穴を作った。
他にもいくつか建造物を作ったが、現存しているのは吉見百穴だけらしい。
当時の地球文明はまだ未熟で意思疎通が難しかったため、「もう少し文明が発達するまで待つ」ことにした。
異星人は「1500年経てば自分たちに近いレベルまで文明が進化する」と予測していたが、再訪した地球は予想とは違う状況になっていた。
彼ら曰く、地球の文明は「まだ進化の途中」であり、アイリとヨーコはその未来の可能性の一つである、とのこと。
話を聞いたヨーコは、何かに突き動かされるように、吉見百穴の急斜面をセローで一気に駆け上ります。
頂上から誰もいない街を見下ろし、「ガッカリしたかな…異星人」と呟くヨーコ。
その時、上空に巨大な宇宙船が出現します!
宇宙船はアイリの頭の中に「100年後、またこの場所で会おう」とメッセージを残すと、閃光と共に飛び去っていきました。
考察ポイント
まさかの異星人が登場した【埼玉・吉見百穴編】の気になるポイントを考察していきます!
異星人はなぜ吉見百穴を作ったのか?
異星人は地球人への敵対心は一切ないようです。
だとすれば、吉見百穴を作ったのは、何らかの形で「地球人のため」であったと考えられます。
では、具体的に何のためだったのでしょうか? いくつか仮説を立ててみました。
- 未来のシェルター説
異星人は地球の未来をある程度予測しており、将来起こりうる何らかの災害や脅威から人類を守るための「シェルター」として吉見百穴の建造技術を教えたのかもしれません。
しかし、その高度な技術を当時の地球人は完全には理解できず、結果としてただの横穴群が完成してしまった…という可能性です。
1500年後に再訪した異星人が吉見百穴の周辺を飛んでいたのは、「人類がこのシェルターに避難しているかもしれない」と考えたからではないでしょうか。
- 脱出用の転送装置説
作中でアイリが「なんらかの転送装置だったのかも」と推測しています。
ただ隠れるだけのシェルターではなく、別の星や宇宙空間への「脱出用ゲート」だったという可能性です。
地球に緊急事態が発生した際、この横穴から安全な場所へ避難できるように…という、異星人の優しさだったのかもしれません。
壊れていた人工衛星
現実の宇宙空間でも、スペースデブリや他の人工衛星との衝突で衛星が破損することはあり得ます。
2009年には、運用を終えた人工衛星が別の人工衛星に衝突する事故も実際に起きています。
作中の時代では人類によるコントロールが失われているため、同様の衝突事故が起きても不思議ではありません。
しかし、アイリが目撃した人工衛星は、ソーラーパネルが根元から折れたような、比較的きれいな壊れ方をしていました。
衝突事故による破壊であれば、もっとバラバラの破片が散らばっているはずです。
となると、何者かによって意図的に破壊された可能性が浮上します。
例えば、アイリが持つプラズマレーザーのような兵器で狙撃されたとしたら、このような壊れ方をするのではないでしょうか?
終末前の世界で、宇宙空間を舞台にした何らかの”争い”があったことを示唆しているのかもしれません。
「地球文明はまだ進化の途中」の意味は?
異星人は、再訪した地球の状況を見て「文明はまだ進化の途中だ」と判断したようです。
しかし、人類の姿が見えないこの世界に、進化する文明など残っているのでしょうか?
ここで重要なのが、異星人が残した「アイリもヨーコも未来の可能性の一つ」という言葉です。
もし二人が”唯一の生き残り”だとしたら、わざわざ「一つ」と言うのは不自然です。
これは、二人の他にも、文明を担う可能性のある存在が地球のどこかにいることを示唆しているのではないでしょうか。
さらに、異星人は「100年後、またこの場所で会おう」と言い残しました。
吉見百穴を作ってから1500年という長いスパンで待つことにした彼らが、この終末的な状況を見て、わずか100年という短い期間を指定したのです。
これは、この100年で地球に劇的な変化が起こると予測しているからに他なりません。
今の地球は、豊かな自然が再生し、巨大化した動物が出現しています。
そして、ヨーコとアイリという二人の人間が旅をしています。
もしかしたら異星人は、高度な科学技術文明ではなく、自然と人間が共存する新たな形の文明が生まれることを期待しているのかもしれません。
ヨーコたちがいる今は西暦何年?
吉見百穴が造営されたのは、史実では西暦501年~700年頃とされています。
これに単純に1500年を足すと、作中の年代は「西暦2001年~2200年」の範囲にあると推測できます。
これまでの描写から、人類は2040年頃までは活動していたことが分かっています。
そこから作中のように街が自然に覆われるまでには、少なくとも数十年はかかるでしょう。
これらの情報から、ヨーコたちがいる時代は西暦2100年~2200年の間である可能性が高いと予想できます。
まとめ
というわけで、ボリュームたっぷりの【埼玉・吉見百穴編】の考察をしてみました!
