【軽井沢/草津編】エイトは何者なのか?「人を助けるプログラム」を組んだのは誰?【終末ツーリング/考察/ネタバレ】

 

『終末ツーリング』の考察ブログ、今回は【軽井沢・草津編】をお届けします。

アイリと同じロボットと思われる「エイト」が登場する、物語の大きな転換点となるエピソードです。

 

>>前回【小鹿野/ビーナスライン編】の考察記事はコチラ<<

 

 

ヨーコとアイリの道のり

ビーナスラインから降りてきたヨーコとアイリは、まず軽井沢にある日本最大級のショッピングモールを訪れます。

ショッピングモールは荒らされた形跡もほとんどなく、衣類や日用品、食料品も残っていました。

自動販売機の中には、缶のコーラも残っています。

 

「白糸の滝」で滝行ごっこをする二人でしたが、そのとき地震が発生。

地震に少しばかり不安を覚えながらも、その日の目的地である草津温泉へと向かいます。

 

 

 

浅間山の火山活動

草津温泉へ向かう途中、溶岩が流れた跡が残る「鬼押出し園」まで来た二人。

路面には火山灰が積もっていてタイヤがとられ、セローでもまっすぐ走ることができません。

 

ある程度進むと、道路に鳥がバタバタと倒れている場所に差し掛かります。

アイリが危険を察知しましたが時すでに遅く、ヨーコは火山ガスを吸って倒れてしまいます。

 

 

助けに来てくれた美少年

アイリがヨーコを担いで火山ガスがない場所へ移動させようとした、その時。

一台の車がやってきて、そこからは美少年が降りてきます。

 

車には医療器具が積まれており、彼はヨーコの治療をしながら草津温泉まで二人を運んでくれました。

 

草津温泉の周辺は水や食料など、最低限のインフラが確保されていました。

電気は地熱発電でまかなわれているらしく、これらは、この美少年がたった一人で修復したとのこと。

 

草津温泉に来て3日後、ついにヨーコが目を覚まします。

 

 

エイトとの出会い

美少年の名前は「エイト」。アイリと同じロボットでした。

「人を助ける」というプログラムを書き込まれていて、5年前に起動するようタイマーがセットされていたそうです。

この5年間は、人がいつ来ても良いように草津温泉の修復を行っていたといいます。

 

エイトは二人に「人間は今どこにいるの?」と訪ねます。

二人から「人間はもういない」という事実を聞かされましたが、特に落胆する様子はなく、プログラム通りに草津温泉での生活を続けていくと話します。

 

 

アイリとエイト

火山ガスのエリアにセローを置いてきたままだったので、ガスの影響を受けないアイリとエイトが回収しに行くことに。

車内で会話をしていると、エイトは「友達を作れ」というプログラムも書き込まれているとアイリに告げます。

しかし、「友達」がどういうものか、エイトにはよく分かりません。

 

二人のデータベースによると、友達の意味は「志や行動を共にして親しく交わっている人」というものでした。

二人で「友達とは?」と考えますが、結論は出ません。

 

 

セローを回収した帰り道、アイリが車を運転しますが、スピードを出しすぎて陥没した穴にハマってしまいます。

調子に乗ってスピードを出しすぎたことを反省するアイリを気にも留めず、エイトはとんでもないパワーで車を持ち上げます。

車は無事に脱出できましたが、エイトの右腕は肘から引きちぎれてしまっていました。

 

車には「予備の腕」が積まれており、エイトは慣れた手つきでちぎれた右腕を交換します。

驚くアイリに対し、エイトは逆に「アイリは出来ないの?」と不思議そうに尋ねます。

アイリは「傷ついたら自然に治る」と言い、今度はエイトが驚く番でした。

 

 

草津温泉での生活

エイトは自給自足ができるように、畑で野菜を育て、家畜も飼っていました。

その畑では、スイカほどの大きさの巨大なジャガイモが育てられています。

アイリはそのジャガイモでマッシュポテトを作り、3人で一緒に食べるのでした。

 

 

一緒に温泉に入る3人は、今後の旅の予定について話します。

そこでヨーコは、エイトに「一緒にツーリングしようよ!」と誘います。

しかし、エイトはプログラム通り「ここで人が戻ってくるのを待つ」ことしかできないと、その誘いを断ります。

 

それでもヨーコは諦めずに誘いますが、エイトが48時間ごとに入らなければならないエネルギー補給ポッドは、草津の地熱発電でなければ動かせないと話します。

プログラム的にも、エイトが生きていくためにも、この草津を離れることはどうしてもできないのです。

エイトは「僕は二人に、ここにいて欲しい…」と本音を告げるのでした。

 

 

3人での楽しい時間

エイトの笑顔がぎこちないと指摘するヨーコ。

笑顔を練習するエイトでしたが、無理して笑顔を作ろうとする様子に二人は思わず笑ってしまいます。

 

エイトは養蜂もしており、アイリがハチミツ集めに同行します。

ミツバチの天敵であるスズメバチを、エイトは投げナイフで一撃で仕留めてみせます。

 

楽しい時間の中、ついにヨーコは草津を離れて旅を続けることを決意し、エイトにそのことを告げます。

その話を聞いたエイトもまた、何やら決意を固めた様子でした…。

 

 

エイトの正体

一人で車を運転していたアイリは、池の近くで朽ち果てたオスプレイを発見します。

オスプレイの中には、エイトと同じタイプのロボットが何体もポッドに収められていました。

さらに、トップシークレットと書かれた書類には「第8世代量産版潜入用人型兵器」という文字が…。

 

アイリは慌ててヨーコの元へと戻ります。

 

 

エイトの暴走

一方、エイトはヨーコとアイリに「草津にずっといて欲しい」と願うあまり、ヨーコを襲って怪我をさせ、ここに留めようと考えます。

エイトは投げナイフでヨーコを攻撃しますが、ヨーコも超人的な反射神経でナイフを弾き返します。

 

なぜ攻撃されるのか分からないヨーコに対し、エイトは自分が「暗殺を目的とした殺人兵器」であることを告げます。

本来は暗殺兵器であるものの、誰かによってプログラムが書き換えられ、今は草津を修復している。

複雑な感情とプログラムの矛盾で自分を制御できなくなったエイトは、「自閉モード」を起動し、容赦なくヨーコに襲いかかります。

 

エイトの攻撃は、手のひらから発射される衝撃波。

しかし、ヨーコはその衝撃波を華麗な身のこなしで避け続けます。

バイクで逃げようとするヨーコに対し、エイトの衝撃波がタイヤを直撃。

ヨーコはバイクから激しく放り出されてしまいます。

 

 

絶体絶命のヨーコでしたが、そこにアイリのプラズマレーザーが飛んできて、エイトの胴体を完全に撃ち抜きます。

上半身だけとなったエイトに駆け寄るヨーコは、彼を回復ポッドへ運ぼうとしました。

 

その時、巨大な地震が発生します。

草津温泉の施設が崩壊し、温泉が噴き出し、地割れが起きる中、ヨーコは動けなくなったアイリとエイトを両脇に抱えながら必死に逃げます。

 

 

浅間山の噴火

地震の原因は浅間山の噴火でした。

オスプレイの中に上半身だけ運び込まれたエイトが、ディスプレイに映し出された地震データを示しながら説明します。

噴火はさらに大きくなり、近くにある白根山も噴火するとのこと。

急いで草津から逃げなければ、3人とも助かりません。

 

セローを取りに戻ったヨーコが帰ってくると、オスプレイの出入口は閉じられていました。

エイトは二人を傷つけた責任を感じ、一緒に逃げることを放棄したのです。

頑なに動かないエイトを懸命に説得するヨーコ。

 

しかし、その思いとは裏腹に、ついに白根山の噴火が始まってしまいます。

 

 

エイトの最期

しばらくして、3人は泥だらけになりながらも助かっていました。

ヨーコがオスプレイのコックピットの窓を割り、そこからエイトを助け出して逃げることに成功したようです。

 

噴火で消滅してしまった草津温泉を眺めながら、楽しかった思い出を話し合う3人。

自分が修復した草津を二人が楽しんでくれたことを聞き、エイトは初めて心からの笑顔を見せるのでした。

3人でセローに乗りながら歌を歌います。

 

草津が見える山の中腹に、エイトのお墓を作ったヨーコとアイリは、噴火した浅間山と白根山を眺めながら静かに肩を寄せ合うのでした。

 

 

 

考察ポイント

涙なしでは読めない【軽井沢・草津編】でした。

悲しいラストを迎えましたが、それでも考察ポイントはあります!

 

 

荒らされていないショッピングモール

ひかわ
軽井沢のショッピングモールが荒らされず、衣料品や食料品が残ってた!終末前の日本って混乱状態ではなかったのかな?

 

箱根で補給物資が配られていたような痕跡、世田谷の住宅での「終末感」から見ると、軽井沢のショッピングモールは平和に見えます。

終末直前の混乱期であれば、ショッピングモールに人が入って、食料品とかを全部奪っていってもおかしくないはずです。

しかし、ショッピングモールは略奪などが起きた気配はありません。

 

過去回から「政府の緊急事態宣言の発令」、そして「船による集団避難」が起こっていたことがわかっています。

実際に、箱根では補給物資を運ぶトラックがあり、世田谷の住宅では有刺鉄線で家を守っている人もいました。

 

それに比べると、軽井沢はずいぶん平穏を保っている状態と言えます。

「東京周辺」と「それ以外の場所」では、終末感に温度差があるように感じます。

 

 

エイトとアイリは同じロボット?

ひかわ
エイトとアイリが「友達」の意味で、同じデータベースの内容を喋ってる場面があったよね?同じデータベースを使っているということは、ロボットの製造元は同じということ?

 

一言一句、同じ意味を喋った二人が、同じデータベースを使っているのは確実でしょう。

ですが、それで同じ製造元が作ったロボット同士だと断定するのは早計かもしれません。

 

アイリが過去に披露したデータベースは情報が古く、「誰でも使えるネットの情報」を読み上げているだけのようにも見えます。

Google検索で出てくる情報を「データベース」と言っているだけであれば、製造元が違うロボットでも、同じ情報サイトのデータを参照している可能性は大いにあります。

 

 

エイトを作った「自衛軍」とは?

ひかわ
アイリが池の近くにあるオスプレイで見つけたトップシークレットの書類に「自衛軍」という文字があった。エイトを作ったのは「自衛軍」という組織ってことだよね?

 

この自衛軍という組織が暗殺ロボットであるエイトを作ったのは確実でしょう。

しかし、「自衛軍」が自衛隊から派生した組織なのか、それともまったく別の組織なのかはわかりません。

 

ですが、エイトの見た目が「外国人風」であるため、敵対する外国に対抗するための組織だった可能性が高いです。

さらに、エイトが居住地としていたのは軍用のオスプレイです。

一般企業(組織)の人間がオスプレイを拝借したり、操縦したりできるとは思えません。

 

そうなると、エイトを作った「自衛軍」は自衛隊から派生した、日本を守るための公的組織と推測できます。

 

 

ミツバチとスズメバチ

ひかわ
ミツバチの中に紛れ込むスズメバチを、エイトが投げナイフで仕留めるシーンがあった!何かを示唆しているシーンなのかな?

 

エイトは「潜入し、ターゲットを暗殺する」という役目で作られた暗殺ロボットです。

このスズメバチのシーンがその示唆であれば、エイトは「味方の組織に潜入したスパイを暗殺する」ことが目的だったかもしれません。

つまり、敵組織(敵国)に潜入するのではなく、内部に入ってきた敵を排除する役割ということです。

 

そうなってくると、終末前の日本は敵対する組織に内部から攻撃を受けていた可能性が出てきます。

 

そういえば、横須賀港でクレーターができるほどの攻撃があった直前、港が謎の炎上をしていました。

もしかすると、あの炎上は「スパイ」が行ったものだったのではないでしょうか?

そのスパイの工作を阻止する目的でエイトたちが自衛軍によって作られた、と考察できます。

 

世田谷の住宅にあった有刺鉄線、巡回する警備犬ロボット…。

終末前の日本では、敵が国内で暗躍していて、人々が自衛をしなければいけない状況だったのかもしれません。

 

 

まとめ

というわけで、エイトという重要人物を深掘りしていく【軽井沢・草津編】の考察でした!