VALORANTのランクマッチに挑むすべてのプレイヤーが、一度は経験するであろう絶望的な状況。
それは、マッチ開始直後、あるいは大事なラウンド中に突如として発生する「味方のAFK(Away From Keyboard / 離席)」です。
4対5という圧倒的な人数不利。
勝利への道筋は閉ざされ、画面に表示される「敗北」の二文字と、無慈悲に引かれていくランクポイント。
「なんでAFKした人のせいで、真面目にプレイした自分のRRが減るんだ!」と、モニターの前で叫んだ経験がある方も多いのではないでしょうか。
この記事では、そんな多くのプレイヤーが抱える悩みを解決すべく、私なりの分析と経験に基づいた「AFK発生時の最適な立ち回り」を解説していきます。
なぜVALORANTではAFKがいてもRRが救済されないのか?
まず、根本的な疑問から解決しましょう。
なぜRiot Gamesは、AFKがいるチームへのRR救済措置(敗北時のRR減少を緩和するなど)を導入しないのでしょうか?
他の人気オンラインゲーム、例えば同社が運営する「リーグ・オブ・レジェンド」では、離席者が出た場合にLP(ランクポイント)の減少が緩和されるシステムが存在します。
この点について、開発元であるRiot Gamesの意図を考察してみると、その理由は「システムの悪用による、さらなる有害行為を防ぐため」という結論に行き着きます。
これは多くのプレイヤーの間でも有力な説として語られています。
もし、AFKがいるとRRの減少が少なくなるシステムが導入された場合、一体どのような問題が発生するのでしょうか。
- パフォーマンスが悪い味方への「AFK強要」
試合でミスが続いたり、パフォーマンスが振るわなかったりするプレイヤーに対して、「お前がAFKすれば俺たちのRRが減らないんだから、抜けろ」といった、いじめやハラスメントが横行する危険性が生まれます。
これは、ゲーム体験を著しく損なう有害行為を助長しかねません。
- デュオ(2人組)による意図的なシステム悪用
友人同士でランクマッチをプレイしている際に、負けが濃厚になると、片方が意図的にAFKや回線切断を行い、もう片方の味方のRR減少を抑えるという「談合プレイ」が生まれる可能性があります。
特に、片方がサブアカウント(スマーフ)だった場合、ペナルティを意に介さず、メインアカウントのランクを維持するために悪用されるケースが考えられます。
例えば、他のFPSタイトルでは、パフォーマンスの悪いプレイヤーを投票によってチームから追放するシステムが存在しますが、これが時としていじめの温床になることもあります。
VALORANTにこの機能がないのは、まさにこうした有害な文化が生まれるのを防ぐためだと考えられます。
理不尽に感じるこの仕様は、実はゲーム全体の健全性を保つための、Riot Gamesによる苦渋の決断なのです。
この前提を理解した上で、私たちはプレイヤーとしてどう振る舞うべきかを考える必要があります。
AFK発生!あなたが取るべき2つの選択肢
現状のシステムでは、AFKによるRR救済は期待できません。
では、4v5という絶望的な状況で、私たちは何を目指すべきなのでしょうか。
私の経験上、選択肢は大きく分けて2つあります。
RRの損失を最小限に抑える「個人技特化プレイ」
一つ目は、「チームの勝利」ではなく「個人のパフォーマンス評価」を最大化することに集中するという選択です。
VALORANTのRR増減は、単なる勝敗だけで決まるわけではありません。
試合内容、特にACS(アベレージ・コンバット・スコア)に代表される個人のパフォーマンスが大きく影響します。
たとえ試合に負けたとしても、高いパフォーマンスを発揮していれば、RRの減少幅を抑えることができるのです。
では、具体的にどう立ち回ればいいのでしょうか?
- 徹底したラーク
人数不利の状況で、味方と固まって正面からサイトにエントリーするのは非常に困難です。
そこで有効なのが、味方とは別行動をとり、敵の裏をかいてキルを狙う「ラーク」です。
敵が味方との交戦に集中している隙を突き、側面や背後からキルを狙いましょう。
- キルを稼ぐための「待ち」
勝利を度外視するのであれば、無理に危険なエリアに進む必要はありません。
敵がローテーションしてきそうな場所や、リテイクのために必ず通るであろう通路で待ち伏せし、確実にキルを稼ぐことに集中します。
いわゆる「キルムーブ」ですが、この状況ではRRを守るための有効な戦術となり得ます。
- スパイクの設置・解除を積極的に狙う
ACSはキルだけでなく、スパイクの設置や解除でも大きく上昇します。
特に攻撃側で、味方が敵の注意を引きつけている間にこっそり設置できれば、大きなスコアとラウンド取得のチャンスが生まれます。
これらの「個人技特化プレイ」は、RRの減少を-20から-15に抑えるなど、少しでも損失を減らしたいプレイヤーにとっては合理的な選択です。
しかし、チームプレイを放棄するため、味方から「K/D(キルデス比)しか気にしていないのか」と非難される可能性や、試合が長引いてしまうというデメリットも存在します。
メンタルと時間を守る「即降参」
二つ目の選択肢は、勝ち目がないと判断し、早めに降参して試合を終わらせることです。
ここで重要なのは、「降参してもRRの減少が軽くなるわけではない」という点です。
降参した場合のRR減少量は、その時点のラウンド差で最後まで負け続けた場合とほぼ同等とされています。つまり、RRを守るという観点では、降参にメリットはありません。
では、なぜ降参が有効な選択肢となり得るのでしょうか?
それは、何よりも、それによって守られる「精神的な健康」は、ランクポイント以上に価値がある、と私は考えているからです。
4v5の不毛な試合をダラダラと続けることは、大きなストレスとフラストレーションを溜め込む原因になります。
イライラした状態で次の試合に臨めば、パフォーマンスが低下し、さらなる敗北を招く「負の連鎖(ティルト)」に陥りかねません。
即降参は、この負の連鎖を断ち切り、健全なメンタルで次の勝利を目指すための「戦略的撤退」なのです。
また、限られた時間でプレイしている人にとっては、勝ち目のない試合に20分も30分も費やすより、早く次の試合に切り替えた方が、時間あたりのRR効率は高くなる可能性もあります。
勝ち目のない試合で失う時間とメンタルは、まさにプライスレスなのです。
結局、どちらを選ぶべき?状況別の判断基準
「個人技特化プレイ」と「即降参」。
どちらが正解というわけではありません。
あなた自身のプレイスタイル、その時のメンタル、そして試合の状況によって、最適な選択は変わってきます。
「個人技特化プレイ」がおすすめなケース
とにかくRRを1ポイントでも多く維持したい人
自分のAIMや1vXの状況での立ち回りに自信がある人
スコアがまだ僅差で、逆転の可能性がわずかでもあると感じる場合(例:4-5など)
不利な状況での立ち回りを練習する良い機会だと前向きに捉えられる人
「即降参」がおすすめなケース
メンタルの維持を最優先したい、ティルトしやすい人
プレイ時間が限られており、効率よくランクを回したい人
スコアが絶望的に開いている場合(例:0-7など)
残った味方の士気が著しく低い、あるいは暴言などでチームの雰囲気が最悪な場合
大切なのは、その場の状況を冷静に判断し、自分にとって最もメリットの大きい選択をすることです。
AFKが出たラウンドの次の購入ラウンド開始時に、チームで「続けますか?それとも降参を考えますか?(continue or ff?)」と一度意思疎通を図ってみるのも良いでしょう。
まとめ
VALORANTにおける味方のAFKは、誰にとっても不幸な事故です。
その理不尽さに腹を立てる気持ちは痛いほど分かりますが、システムが変わらない以上、私たちはその中で最善を尽くすしかありません。
AFKにRR救済がないのは、システムの悪用や有害行為を防ぐため。
RRの損失を抑えたいなら、ACSを意識した「個人技特化プレイ」に切り替える。
時間とメンタルを守りたいなら、次の試合に切り替える「即降参」も有効な戦略。
どちらの選択をするにせよ、最も重要なのは「引きずらないこと」です。
AFKはあなたのせいではありません。不運な試合はさっさと忘れて、気持ちを切り替え、次の試合での勝利を目指しましょう。
あなたのVALORANTライフが、理不尽な敗北よりも、素晴らしい勝利の喜びに満ちたものであることを願っています。