『終末ツーリング』考察、今回は物語の根幹をなす謎、「いなくなった人類はどこへ行ったのか?」についてです。
主人公は人類の行方を知っている?
『終末ツーリング』の作中には、【人類は宇宙へ逃げた】ことを示唆する場面が何度も登場しますが、その結末がどうなったのかまでは描かれていません。
しかし、主人公であるヨーコは、シェルターでお姉ちゃんから世界の真実をある程度教えられているようです。
彼女が「人類は滅亡した」ではなく「いなくなった」と表現していることからも、それが伺えます。
ただし、そのすべてが真実とは限りません。
ヨーコが詳細までは教えられていない、あるいは「意図的に嘘を教えられている」可能性も考慮すべきでしょう。
人類は宇宙へ逃げた?
作中には、宇宙開発を匂わせるシーンが度々登場します。
中でも、人類が宇宙への移住を本気で計画していたことを決定づけるのが、つくばのプラネタリウムで発見された、雑誌か新聞の一部と思われる資料です。
- 「スペースコロニー計画。世界各国から参加表明。宇宙での生活が現実に」
- 「月面基地発電ヘリウム3による核融合発電実験に成功」
- 「フィリピンおきに軌道エレベーター建設開始」
これらの情報からは、人類が宇宙空間で生活するための準備を着々と進めていたことがわかります。
ただし、この記事が西暦何年のものかは不明なため、軌道エレベーターやスペースコロニーが実際に完成したのかどうかは、定かではありません。
とりあえず月面基地での発電実験は成功している模様です。
スペースコロニー計画に世界各国が参加を表明している、という事実は、それだけ地球全体が追い詰められていた状況であったことを物語っています。
日本国民は船でどこへ逃げようとした?
ロボ父さん(鈴木一朗)の回想シーンでは、横須賀港から人々が船で避難する様子が描かれていました。
また、【大洗編】でも「避難船乗り場」への案内看板が残されており、この計画的な避難が、日本各地の港で一斉に行われようとしていたことがわかります。
案内看板が設置されていたことからも、この避難が火山噴火や地震のような、突発的な災害から逃れるものではなかったことがわかります。
そう考えると、フィリピン沖に建設中の軌道エレベーターを使い、宇宙へ避難するという目的であった、という説は非常に説得力があります。
軌道エレベーターの輸送能力には限界があるでしょうから、日本各地から計画的に船で人々を輸送する、という手順も理にかなっています。
そもそも日本から脱出できなかった?
避難で住民が集まっていた横須賀港は攻撃を受けてクレーターになってしまっています。
例え軌道エレベーターが完成し、その軌道エレベーターへ避難しようとしても、この攻撃がある限り人類は軌道エレベーターに辿り着けません。
避難しようとするたびに攻撃されていたら全滅しに避難するようなものですし、攻撃を恐れて避難をやめれば「避難が必要な状況の日本」から脱出できません。
船での脱出が不可能になった場合、日本には日本人が残ることになります。
しかし、現代の日本には日本人が誰も生き残っていません。
となると、なんらかの手段で日本国外への脱出は出来たという可能性もあります。
宇宙に人類は行けなかった?
スペースコロニー計画などが書かれた雑誌?を見たヨーコ「宇宙にも人は行ったんだね」
#つくば編
つくばのプラネタリウムでスペースコロニー計画などの情報が書かれた雑誌?を見たヨーコは、「宇宙にも人は行ったんだね」とボソッと言います。
ヨーコはシェルターで教えてもらった?ようで、地球から人類がいなくなったこと自体は知っています。
そんなヨーコが「宇宙にも人は行ったんだね」と言っているということは、人類が宇宙に避難して地球からいなくなったわけではない、と解釈することができます。
人類が宇宙へ避難したからいなくなったと知っていれば「宇宙にも人は行ってたんだ」と驚きません、宇宙に避難した人がいるんですから。
【避難が困難】【ヨーコの発言】
この2つを合わせて考えると、少なくとも人類は宇宙への脱出を果たせなかったと考えられます。
もちろん、宇宙以外の場所、例えば他の巨大シェルターや、日本以外の安全な国へ避難することに成功した、という可能性はまだ残されています。
