終末ツーリングの最大の謎ともいえる「地球から人がいなくなった理由」について考察します。
詳細な理由は作中に出てきている?
この考察記事を書いている段階では明確に説明されているシーンはありません。
また、この作品のような「終末系ストーリー」は読者に判断をまかせることが多いため、最終回を迎えても明確には語られない可能性もあります。
とはいえ、終末ツーリングでは数多くのヒントが散りばめられているため、そのヒントから考察をしていきます。
ちなみに、主人公の二人(ヨーコとアイリ)は人がいなくなった理由についてはだいたい知っている模様です。
主人公の二人から「人がいなくなった理由」について詳細に語られるシーンはありません。
背景に映り込んだシーンや、誰かの回想シーンがヒントになっています。
そのヒントとなるシーンは以下です。
放射線や環境破壊が原因?
自衛隊?の機動戦闘車から流れる防災無線が「大気中の放射線量」をアナウンスしている。
#箱根編
第1話で登場した動かなくなっていた機動戦闘車。
この機動戦闘車は補給物資を運んでいた車と一緒に行動していたと思われますが、なぜか動かなくなっていました。
機動戦闘車は防災無線アナウンスも並行して行っていた模様で、降水確率など天気情報の他に「大気中の放射線量」についてもアナウンスしています。
ここからわかることは、当時の日本では・・・
- 補給物資が必要な状況にあった
- 補給物資を護衛する機動戦闘車が必要だった
- 放射線を気にしなければいけなかった
- 住民は情報が遮断されていた?
この4点です。
上記の3点はほぼ確定ですが、最後の「住民の情報が遮断されていた?」は微妙なところです。
現実世界の日本でも防災無線はありますが、天気情報まではアナウンスしません。テレビなりネットを見ればいいですからね。
その天気情報までアナウンスするということは、住民にそれらの情報を伝える手段が無くなっていた?と考えられます。
令和13年発行の1000円硬貨
#ビッグサイト編
ビッグサイトで自動販売機の下にあった令和13年発行の1000円硬貨です。西暦でいうと2031年発行になります。
大きな金額の硬貨が作られたということは大規模なインフレが起きていたと考えられます。
当時の日本では経済的な理由なのか、物資不足なのか、直接的な理由はわかりませんがとにかく物価が高騰していたことが推測されます。
海面が上昇し、巨大魚がいる
#横浜・横須賀編
横浜では海面が上昇し、街が海に沈んでいる様子が描かれています。
アイリのデータベースで「環境変化などの影響で世界中の海面が上昇している」と語られています。
また、巨大なシャチも存在したことから「環境ホルモンの汚染」についても指摘されています。
地上は野生動物や自然いっぱいで環境は良さそうですが、意外と環境変化の影響がかなり残っているようです。
大雨で竜巻がいくつも出現し、雷が鳴り止まない嵐
#海ほたる編
地球の自然環境が激変していることがわかるシーンです。
こんな嵐が起きていたら人間はまともに生きていられないだろ!ってくらいの嵐です。
霞ヶ浦の水質が良すぎる
#霞ヶ浦編
霞ヶ浦についてアイリのデータベースが説明しているシーン。
ここで「霞ヶ浦は外来種が増えたり水質の悪化が問題になっていた」と言っています。
しかし、現在の霞ヶ浦の水質は透き通ったようにキレイでヨーコも不思議がっています。
霞ヶ浦の水中には、当時の人間が残した釣り竿や車もあり、水質が良くなる気配はないのですが…。
車に「水あります」と書かれている
#ビーナスライン編
ビーナスラインの三峰茶屋に停めてある白いバンに「水あります」と書かれています。
当時の日本では水不足だった可能性が示唆されています。
普通に考えれば「水が放射線で汚染されて飲めなくなった」から水不足になったと考えるべきでしょうか。
政府の緊急事態宣言
#複数話で登場
作中でも何度か登場しますが、末期?には政府の緊急事態宣言が出されています。
そう簡単には外出できない状況にあったと言えます。
戦争や内戦などが原因
船でどこかへ避難しようとしたが攻撃された横須賀港
#横浜・横須賀編
”横須賀港があった場所”は現在巨大クレーターのようになっています。
ロボ父さん(鈴木一朗)の記憶からの回想では、民間人を避難させようとする多数の船、炎上する横須賀港が映っています。
そして、その数秒後に「なんらかの攻撃」があり、この巨大クレーターが出来たことがわかります。
ここでわかることは「住民が船でどこかへ避難する予定だった」ことと「日本が攻撃された」ことの2点です。
この「船で避難しようとしていた」ことは別の場所でも示唆されており、当時の日本は陸ではなく海へ逃げようとしていたようです。
有刺鉄線や監視カメラ?がある世田谷の住宅
#世田谷編
世田谷の住宅で食料や日用品を拝借していた二人の前に現れた、有刺鉄線や監視カメラのようなものが設置された高級住宅。
防御がしっかりしていたようで室内は荒らされた形跡はなく、204?年(下一桁が見えない)のカレンダーがあったり、2045年が賞味期限の袋麺があったりします。
寝室ではミイラ化した死体の横にピストルがあり住民が自殺をしたことがわかります。
また、壁に銃弾が何発もあることから、家族で心中した?可能性もあります。
自宅を守らなければいけない内戦状態にあった?もしくは暴徒化した他の住民から自分たちの身を守るため?と思われます。
国民は警備ドローンに監視されている?
#ビッグサイト編
ビッグサイト内に、コミックマーケット(作中だとコミックマーモット)の参加者が作った販売所があります。
そのホワイトボードに「警備(犬)ドローン巡回情報」と書かれており、なんらかの監視体制が引かれていたことがわかります。
ちなみに【警備犬ドローン】と思われる四足歩行型ロボットは、世田谷の住宅地などにも壊れたものが転がっています。
この警備犬ドローンを動かしているのは政府なのか?それとも反政府組織なのか?
ビルの横が攻撃があった?かのようにエグれている
#つくば編
海ほたるからつくば市へ向かう道中、ビルの中腹あたりが丸くえぐられているビルがあります。
今までのビルや建造物は「年月が経って腐敗して壊れた」ように見えるものが多かったのですが、ここには明らかに「腐敗ではない壊れ方」をしたビルがあります。
上からの攻撃ではなく、ビルの真横からレーザー攻撃などで一直線に貫かれたように見えます。
研究やロボット兵器が原因?
「欠けた」月
#流山・利根運河編
満月で巨大な月が見えますが、その月の左上が「なんらかの攻撃や爆発」を受けたかのように欠けています。
見える範囲だとクレーター(欠け)は3つあり、そのクレーターからは放射線状にヒビが広がっています。
隕石の衝突と言うよりも兵器による攻撃があったように見えます。
進入禁止のバリケードが並び「実験反対」「バイオテロ…」の文字
#つくば編
つくばの研究所へ向かう道中、進入禁止のバリケードが並び、壊れた人型ロボット?と警備犬ドローン?が倒れている場所を通ります。
そこには「実験反対」や「バイオテロ…」の文字もあり、なんらかの抗議活動やデモが行われていたことが示唆されています。
また、ヨーコが「お姉ちゃんがいってた研究所…」として向かった先には、おそらく攻撃によるクレーターが原因で出来た巨大な池?があります。
ちなみにそこに向かう道中ではチラッと【エネルギー加速(研究所?)】の案内板が映り込みます。
気になるのは、その巨大な池の周囲には入れないように柵が設置されていることです。
横須賀港のクレーターには柵などなかったことから、このつくばのクレーターが出来た後に「柵を設置できる余裕があった」とも言えます。
宇宙に破壊された人工衛星
#吉野百穴編
地球外生命体と思われるUFOに宇宙へ連れて行かれたアイリ。そこで見た宇宙には、破壊された人工衛星があります。
人工衛星はソーラーパネル部分が根本から折れたようになっていて、その一部分に衝撃が加わって破壊されたように見えます。
ヨーコが作中でも何度か言っていますが、地球ではGPSやネットが使えなくなっています。
暗殺ロボットが作られていた
#軽井沢編
軽井沢で出会ったエイトが「自衛軍の作った第8世代量産版潜入用人形兵器」であることが明かされます。
要するに、人間のコミュニティに紛れ込んで暗殺する専用のロボットが作られていたということです。
ただし、この暗殺ロボット計画が実際に使われたのかは不明です。
エイトの拠点には3~6番の番号がついたロボットがポッドに入っています。
さらにエイト自身も「人類から殺すべき相手すらいなくなって…」と言っており、第8世代が完成する前にこの計画が終了したとも解釈できます。
イナッシーは人工的に造られた
#猪苗代湖編
ヨーコの夢の中で「イナッシーは人間が作った」と”誰か”に教えられています。
恐竜の化石からDNAを取り出して復活させたとのことで【絶滅した生物を復活させるプロジェクト】があったらしい。
イナッシー騒動は2036年には起きていたことから、このプロジェクトはそれよりも前から行われていたことになります。
お姉ちゃんが言っていた『将棋の国の昔話』
#山形編
将棋の街・天童市に寄った際に、シェルターでお姉ちゃんが言っていた『将棋の国の昔話』を思い出すシーン。
この昔話ではロボットが人間を上回る知略を持っていて、なおかつ「駒たちの能力を奪った」や「役に立たなくなった駒を消した」ということが語られています。
ヨーコとアイリは話がよくわからないと言っていますが、ロボットが世界に影響を与えたことを昔話に例えたものだと推測できます。
人がいなくなった理由は「将棋の国の昔話」でわかる?
お姉ちゃんが二人に教えた『将棋の国の昔話』が、人類がいなくなるまでの状況を遠回しに説明しているものだという前提で考察していきます。
昔々あるところに将棋の国がありました。みんな将棋が大好きで毎日、将棋大会を開催していました。そんなある日、どこからやってきたのか、とても強い棋士が現れたのです。一手見れば旬樹に先の先まで読んでしまうので名人さえ敵いません。そう、彼の正体はーーロボットだったのです。
#将棋の国の昔話より
この話を現実世界に落とし込むとしたら「”国vs国”の政治経済バトル」でしょうか。
各国がしのぎを削る中、ロボットを利用した政治をしていた国が台頭。
そのロボットを利用した国が政治経済で利益を独占した余波で、日本でインフレが起こったと考えられます。
正体を知った人々は皆、ロボットを作り自分が勝とうとしました。
#将棋の国の昔話より
日本でもつくばを中心にいろいろな研究が行われていたことが示唆されています。
猪苗代湖で恐竜を復活させたり、つくばで反対デモ?が起きるようなことになっていたり。
エイトを作ったのも自衛軍という組織です。
日本も科学やロボットで対抗しようとしたことがわかります。
するとどうでしょうーー。一手でも打った側が負けてしまうため、誰も勝負を始めません。何日も何日も睨み合いが続いた。
#将棋の国の昔話より
ここから昔話の雰囲気がガラリと変わり、理解するのが難しくなってきます。
とりあえずわかることは「ロボット合戦が一時休戦状態になった」ということでしょうか。
良く解釈すれば、一時期は平和な時期があったのかもしれません。
実際、お姉ちゃんが週末ツーリングをしていて【つーりんぐらむ】に写真が残っているのは2035年~2039年までです。
この時期はロボット合戦が休戦で平和だったと思われます。
「一手でも打った側が負ける」の解釈が難しいところです。
ここでエイトのような暗殺ロボットが造られ、動いたら逆にやられる、状態になったのでしょうか。
そんなある日ーー。ロボットの中の1体が「こんな駒なんていらない」と、駒たちの能力を奪ってしまったのです。将棋盤には何もできなくなった真っ白な駒たちがただ並んでいました。
#将棋の国の昔話より
私は「駒たち」というのが「人間(国民)」であると解釈しました。
では、駒たちの能力を奪うためにロボットは何をしたのか?
ここで重要なのは「能力を奪った」だけで駒自体を消したりはしていないことです。
あくまで能力を奪った、行動不能状態にした、ということです。
ヒントを見てみると「放射線」「人工衛星破壊」で人間を行動不能状態に出来ると思います。
- 放射線で人間を外出できないようにする
- 人工衛星を破壊し通信(コミュニケーション)が出来ないようにする
そう考えると、警備犬ドローンを動かしていたのはロボットということになります。
現代でもお店は荒らされずに残っていることが多く、暴徒化した住民を抑えるための警備犬ドローンとは考えにくいです。
するとまた他のロボットが「役に立たなくなった駒なんていらない」と全ての駒を消してしまいました。気がつくと棋士もいなくなり、役割をなくしたロボットも動かなくなって、誰もいなくなってしまいました。
#将棋の国の昔話より
「全ての駒を消してしまいました」は横須賀港への攻撃と素直に考えるべきでしょう。
もちろん、横須賀港だけではなく日本中、世界中で同じような攻撃があったものと思われます。
ロボットがどのような意思(命令?プログラム)で動いていたのかはわかりませんが “人類がいなくなったこと=役割が無くなった” ようです。
「勝ちたい相手(他国)」が無くなったからロボットが停止したとか、そんな感じでしょうか。
『将棋の国の昔話』を元にして考えていくと、頭の良いロボットが頭良過ぎて人類がいなくなった、ということになります。
終末ツーリングはロボットの話?
終末ツーリングは「作り手の気持ち」が話の根幹にあります。
もてぎでホンダのロボットと意思疎通したり、長岡で花火職人さんの熱い気持ちが表現されていたり。
他にもコミケの漫画家さんとか、秋田のなまはげもそうです。
そう考えると、作り手が存在するロボットが終末を迎えた原因になっていると可能性は高いと言えます。