『終末ツーリング』の最大の謎といえば「なぜ人類はいなくなったのか?」です。現段階では、作中でその理由は明かされていません。ですが、終末前の地球で起きていたと思われる様々な証拠は登場しています。
というわけで今回は、作中に登場する証拠を時系列で並べていき、そこから「人類がいなくなった理由」について考えていこうと思います。
【三沢基地編】までを見て考察しています。ネタバレには注意してください!!
終末前の日本で起きていたこと
箱根には自衛隊の「機動戦闘車」が放置され、その近くの崖下には缶詰などの物資を運んでいたと思われるトラックが転落していました。機動戦闘車の中にいた操縦士は、ミイラ化した遺体となって発見されます。
当時の日本では、武装した機動戦闘車が一般道路を走行せざるを得ないほど、治安が悪化していた、あるいは非常事態下にあったことがわかります。
近くに転落したトラックがあることから、機動戦闘車はこのトラックを護衛するために並走していたと考えられます。大量の缶詰などの物資は、避難所や重要施設へ送るためのものだったのかもしれません。
機動戦闘車が放置されていた場所のすぐ近くにある食堂では、倉庫と思われる小部屋に、天井まで届くほどの「食べ終わった空き缶」が積まれていました。ヨーコがドアを開けた瞬間に崩れ落ちてくるほどの量です。この空き缶は、崖下のトラックに積まれていた物資である可能性が高いでしょう。食堂にいた人々が補給物資を回収し生き延びていたものの、物資を勝手に食べたことがバレないように隠したのでしょうか。
機動戦闘車の操縦士はミイラ化死体になっていました。車内にあるセキュリティシステムが誤作動し、操縦士をガスなどで殺してしまったのでしょうか。また、死体がそのまま放置されているという事実は、当時の組織(自衛隊や政府)が「隊員の遺体を回収することすら不可能な状況」に陥っていた、あるいは組織自体がすでに崩壊していたことを示唆しています。
当時の日本ではエネルギーの変化が起きている。バイオガソリンが主流で、風力発電があらゆる場所に建てられている。自然環境への配慮からなのか?はたまた燃料不足だったのか…。
当時の日本ではエネルギー転換が起きていたようです。ガソリンスタンドは「エネルギーステーション」と名前を変え、バイオガソリンや水素燃料、急速充電スタンドが設置されています。また、ヨーコたちが旅をする背景には、巨大な風力発電機が頻繁に登場します。
排出ガスを減らすために自然エネルギー中心の社会へ移行したとも取れますが、「燃料不足」や「資源不足」によって、そうせざるを得なかった可能性もあります。
令和13年発行の1000円硬貨がある。これはインフレが起きていた証拠?
通常、高額な硬貨が作られる理由としては激しいインフレーションが考えられます。しかし、当時のまま残されているお店のメニューを見ると、ラーメンやアイスなどは至って普通の値段設定であり、インフレが起きていた形跡はありません。
ここで考えられるのは「資源不足で紙幣を作れなかった」という可能性です。紙の原料となる木材の調達が困難になった、あるいは自然環境への配慮で森林伐採に大規模な規制がかかったために、紙幣から金属製の硬貨へ移行したとも推測できます。
前述の「エネルギー変化」と合わせて考えると、資源枯渇が深刻化していた社会背景が見えてきます。
道路に残されている放置されている車。
ヨーコたちが旅する時代では、車を縫うように走らないといけないほど放置された車が大量に残されています。「道の駅あいづ」に残された落書きや車の状況から、これらは突如として「動かなくなった」と思われます。急に毒ガスなどが発生して運転手が逃げ出したわけではなく、車自体が機能を停止してしまったのです。
これを引き起こす原因として有力なのが「太陽フレア」や「EMP(電磁パルス)攻撃」です。
もし強力な電磁波によって世界中の電子機器が同時に破壊されたとしたら、箱根の機動戦闘車が動かなくなったタイミングも説明がつきます。さらに、機動戦闘車のシステムが誤作動を起こして操縦士を死なせてしまった原因も、このEMPによる制御不能状態だったとすれば辻褄が合います。
横須賀港で謎の大爆発が起きる。当時の日本では船による避難が行われていた。
サイボーグ化した自衛隊?所属のロボお父さん(シュワちゃん)の記憶によると、横須賀港は謎の大爆発が起きています。船で避難しようとする民間人、炎上する横須賀港、混乱する自衛隊員、その直後に巨大爆発が起きています。
茨城県の【大洗】にも船での避難誘導看板が残されていました。このことから、当時の日本では「計画的に船による避難」が行われていたことがわかります。「今すぐ逃げろ!」という突発的なパニックではなく、看板を設置する余裕があるレベルの、組織的な避難計画が進行していたことを示唆しています。
また、当時の人々の書き置きなどを見るに、一時的に避難はするものの「また日本に戻ってくることが出来る」という希望を少なからず持っていることがわかります。
街や施設を巡回する警備犬ドローン。
世田谷の住宅地や、つくばの道路に4本足の「警備ドローン」が倒れています。【ビッグサイト】のホワイトボードには「警備犬ドローン、巡回時間」と書かれていることから、治安を守るロボット、もしくは人々を監視するロボットが配備されていたことがわかります。
ホワイトボードを書いたコミモ参加者が警備ドローンを警戒しているということは、少なくとも、謎のモンスターを退治するようなものではないです。あくまで人間を対象にした警備が行われていたということになります。当時の日本では、国民に対しての監視体制がかなり強化されていたと言えるかもしれません。
先代アキバタローがAIを使い、DJアキバジローを作る。
秋葉原でラジオ放送を行っていたのは、AIの「DJアキバジロー」でした。このアキバジローを作ったのが、人間の「先代アキバタロー」です。アキバタローは入門書などを見ながらパソコンを組み立て、AIのプログラムを組み、さらにはソーラー発電のシステムも構築していました。
オフィスビルの1フロアを使っていたり、街にある案内マップやビルの電光掲示板にマジックで文字を書いたりしていることから、アキバタローが最後にいた時には、すでに人類はほぼいない状況だったと推測できます。
また、AI初心者のアキバタローでも、あれだけ流暢に喋るAIを作ることができたということは、当時のAIはかなり進歩していたと考えられます。
故障中で動かないエレベーター。
【秋葉原】や【華厳の滝】では、エレベーターが故障中で動かないという掲示がされていました。これらが「車が動かなくなった日」と同じタイミングで止まった可能性もありますが、華厳の滝のような観光地でわざわざ「故障中」の貼り紙が残されているのは意味深です。
もし突発的なEMP攻撃なら、貼り紙をする暇もなくパニックになるはずです。貼り紙があるということは、それ以前から「部品不足で修理ができない」「メンテナンス要員がいない」といった、インフラ維持が困難な状況が長く続いていた証拠かもしれません。
つくばで研究や実験に対してデモ運動が起きていた。
つくばの街には「バイオテロ…」や「BC兵器絶対(反対)」と書かれたプラカードが残っており、研究や実験に対してデモ運動が起きていたと思われます。警備犬ドローンや機動戦闘車が放置されている状況から、車が動かなくなった時期とデモ運動の時期は重なっていると考えられます。
実際にどのような研究や実験に対してデモが行われていたのかはハッキリとはわかりません。ですが、お姉ちゃんが所属する組織は『化石から恐竜を復活させるプロジェクト』を猪苗代湖で行っていたので、最低でも動物実験は行っていたと思われます。
政府による緊急事態宣言が発令される。
【モビリティリゾートもてぎ】に、「緊急事態宣言が発令されて全施設が休業する」と書かれた看板が残されていました。もてぎだけではなく、他の観光施設や店の入口にバリケードがあったりしたことから、実際に全国的に緊急事態宣言が発令されていたのは確実でしょう。
また、一部の施設では「○○月○日に閉鎖します」と告知がされているところもありました。これは、宣言が出る前から社会機能が麻痺し始めていた、あるいは自主的に身を守る行動が必要なほど切羽詰まった状況だったと予想されます。
世界的に宇宙開発が活発化。月に核融合発電の実験機が建設され稼働を開始、フィリピン沖では軌道エレベーターの建設が着工していた。スペースコロニー計画も進められていた。
クレアが宇宙にいた頃には、すでに月面の発電所や軌道エレベーターの計画が本格化していた模様です。月面発電所はエネルギー問題解決のために建設計画が立ち上がったということで、日本だけではなく世界的にエネルギー問題の対応が迫られる状況だったこと推測できます。
スペースコロニーや軌道エレベーターの建造理由については明かされていませんが、月面発電所と同じく、地球上の問題を解決するために必要なことだったのでしょう。そうなってくると、人類はかなり前から「このままだと地球はヤバい」と考えていたと思われます。
エイト(潜入用人形兵器)が作られる。
草津にいたエイトは「人を殺すため」に作られているので、終末前のまだ人類がいる時代に作られたことになります。しかし、軍用サイボーグだったシュワちゃんとの技術力の差は歴然としており、エイトを作った組織(自衛軍)の技術力の高さには違和感が残ります。
また、「日本中の車が一斉に動かなくなった」と仮定すると、エイトが拠点にしている草津に軍用トラックやオスプレイを運んだのは「車が一斉に動かなくなる前」ということになります。エイトを運んだ人は、車が動かなくなることを予見していたような行動をしていると言えます。
そうなってくると、エイトをコールドスリープ状態(タイマーセット)にして、”その瞬間”を上手いことやり過ごしたとも考えられます。実際、宇宙飛行士クレアの相棒であるウィルソン(AIアシスタント)は、大規模太陽フレア発生時に電源がオフ状態だったから影響を受けなかったと語っています。
草津に車があらかじめ運ばれていた、エイトをコールドスリープ状態にする。これらの状況から、車が動かなくなったのは自衛軍が仕掛けた作戦だったのかもしれません。
大規模な太陽フレア(と思われるもの)が発生する。また、この1年は小規模な太陽フレアが多くなっていた。そして月面発電所が爆発。
宇宙にいたクレアたち宇宙飛行士は、大規模な太陽フレアによってコールドスリープをせざるを得ない状況に追い込まれてしまいます。このとき発生した太陽フレアに対して宇宙飛行士たちは「今年に入って何度目だ?」と言っていることから、この1年だけで太陽フレアの数が異常に増えていることがわかります。
しかし、宇宙飛行士たちはこの太陽フレアに疑問をいだいています。磁気嵐対策が完璧なはずの宇宙船が「たかが磁気嵐で」やられて電源が消失してしまったからです。しかし、地球にはオーロラが広がっており、太陽フレアが地球に到達したことを示していました。地球を見ると明かりが次々と消えていき、地上でも電源が失われていることが一目でわかります。
ここで考えられるのは、「車が動かなくなったのは、この太陽フレアが原因では?」ということです。ですが、クレアが見た地上(日本)は明かりが消えていく様子がわかることから夜です。一方、日本で動かなくなった車を見ると渋滞が起きている場所も多く、「道の駅あいづ」の駐車場は満杯でした。夜にここまで車が走っているでしょうか?もしかすると、車が動かなくなった原因は「太陽フレアに見せかけたEMP攻撃」が行われたかもしれません。
また、月面の核融合発電基地がこの太陽フレアの時に爆発しています。クレアは「月の基地でも制御コンピューターに異常が起きたのでは?」と推測しています。
終末後に起きたかもしれないこと
富士山の噴火が起きた。
#箱根編(アニメ)
原作漫画ではよくわかりませんでしたが、アニメ版では富士山が噴火を起こし、山頂部が大きく抉れている様子が映されていました。これが終末前の噴火であれば、関東周辺は壊滅的な被害を受けていたはずです。この噴火を察知し、人々は避難を開始した可能性もあります。
海面上昇や巨大化したサメやシャチがいる。
現在の海面はかなり上昇していて、「みなとみらい」のビル群も水没してしまっている状況です。これについてはアイリが「環境変化などの影響から世界中で海面が上昇している」と解説しています。ですが、道路上の車が水没している状況を見ると、この急激な海面上昇は車が放置された後、つまり人類の活動停止後に進行した可能性が高いです。
また、シュワちゃんが巨大シャチを見て「あんな巨大なはず…」と驚いていることから、終末前の日本には巨大生物は存在していなかったようです。
プラズマレーザー攻撃が行われたような痕跡。
「ビルの一部だけくり抜かれたような痕」や「お台場の観覧車の一部だけが撃ち抜かれたように見える」ことから、アイリの放つプラズマレーザーと同じような攻撃があったような痕跡が多数残されています。もしも、終末前の日本でこの攻撃が起きていたのであれば、当時の人々は大混乱だったでしょう。
水質の改善、いるはずのない動物がいる、巨大嵐の発生など環境の変化が凄まじい。
ヨーコが旅する今は、水質汚染が問題だった霞ヶ浦が異常な透明度を誇っていたり、中禅寺湖では個体数が激減していたヒメマスをヨーコが釣り上げたり。日本の気候では寒くて生息できないはずの、暖かい場所に住む動物が野生化していたり。世界の終わりのような巨大嵐が発生したりと、地球環境の変化が凄いことになっています。
暖かい中南米にいる動物が海を泳いで日本に来るわけがないですので、当時から動物園などにはそれらの動物はいたはずです。さらに、人類がいなくなり、動物園から脱走したとしても、その脱走した時に気候が暖かくなければ生き延びることはできないため、当時からある程度の温暖化は起こっていたものと推測できます。
至るところで破壊され、渡れなくなっている橋。
セローで移動するヨーコたちの背景に、たびたび「壊れている橋」が登場します。最初は自然崩壊したとも思いましたが、クレアの操縦する戦闘機に乗って東京上空(隅田川あたり)を飛んだ時、見える限り橋が全て壊れていました。
これは何者かが「移動を制限するため」に意図的に破壊した可能性があります。もし終末前に破壊されたのであれば、人々が陸路ではなく「船で避難」せざるを得なかった理由の一つになるかもしれません。
ヨーコが「つくばの研究所」だと勘違いしていた場所がクレーター化している。
つくばの研究所へ向かう時に、ヨーコが地図を見ることなく辿り着き「ここ(が研究所)だよね?」と言った場所がクレーター化していました。ヨーコの「夢(記憶)」はおそらく現実に起きたことでしょうから、ここに研究所があったのも事実でしょう。となると、ヨーコも関わりもある研究所はなんらかの爆発で跡形もなく消し飛んでしまったことになります。
つくばの街には「バイオテロ…」や「BC兵器絶対(反対)」と書かれたプラカードが残っており、研究や実験に対してデモ運動が起きていたと思われます。このデモ運動が活発化した、もしくは本当にヤバい研究をしていたことが問題視された結果、別の組織によって研究所が爆破されたと考えると違和感はありません。
その一方で、人類がいなくなった後に研究所の機械だけは稼働し続けた結果、事故による爆発が起きた可能性も捨てきれません。ですので、この研究所が爆発した時期に関しては不明と言えます。
地下シェルターが作られた時期。
意外と忘れがちですが、地下シェルターが作られた時期もハッキリとはわかりません。「声紋チェック」や「網膜スキャン」があることから、人類がまだいる時期に、外部の敵がいることを想定して作られた可能性は高いです。
ですが、入口代わりの電話ボックスは動いていますし、地下へ行くエレベーターも壊れていません。地上にある車やエレベーターが動いていないことを考えると、この地下シェルターだけは後に作られたような気もします。
人類がいる時代に作られたとすると、シェルター内の設備は技術が先行しすぎているようにも見えます。事実、アイリという人間にしか見えないAIロボットが作られています。また、そんなに技術が進んでいるのであれば、地下シェルターに人類の生き残りがいてもおかしくはありません。なぜ、こんな最新鋭の技術がある地下シェルターにも人類はいないのでしょうか?
謎の体調不良で死んでいく宇宙飛行士たち…。当時の日本でも同じ体調不良が起きていた可能性。
コールドスリープから覚め、地上に降り立ったクレアたち宇宙飛行士。しかし、原因不明の体調不良で次々と死んでいってしまいます。三沢基地の設備で体調不良の原因を調べたものの、原因はわからなかったとのこと。生き残ったクレアも体調不良になってしまっています。
この体調不良はコールドスリープの影響か?とも思いましたが、クレアが寝泊まりに利用している宿舎にはたくさんの人たちが「眠っている」とのこと。当時の日本でも、宇宙飛行士たちと同じような謎の体調不良が発生していたのかもしれません。
伏線のような演出
カルメ焼き。
ヨーコがカルメ焼きを作っているのを見ていたヨーコが、膨れ上がるカルメ焼きを見て「危ない!爆発する!」と叫び、ヨーコを突き飛ばして爆発から守ろうとします。なにも意味のないシーンに見えるからこそ、伏線っぽさがあります。
大量のネズミに襲われて、プラズマレーザー攻撃を放とうとする。
【海ほたる】で大量のネズミに襲われるヨーコとアイリ。ここでアイリがネズミを倒すためにプラズマレーザー攻撃を出そうとしますが「バラバラの小さい相手にはあんまし効果ないし…」と話しています。ここでわかることは、プラズマレーザー攻撃は「一点集中」に特化しているということです。
横須賀港の爆発が上空からのプラズマレーザーによるものと考えると、人々が避難のために集まっているところを狙うというのは意図的な狙いがあったということになります。
将棋倒しにハマるヨーコ。
山形の「将棋の町」で将棋セットを手に入れたヨーコは、普通の将棋ではなく「将棋倒し」にハマります。ヨーコが将棋倒しで遊んでいると、アイリが水鳥の卵が孵化したことに驚いて叫びます。その叫び声にビックリしたヨーコは、並べていた将棋を倒してしまいます…。
これは、終末前の様子を現しているようにも見えます。意図せず誰かが起こした行動が引き金になり、ドミノ倒しのように悪いことが連鎖していった、みたいな。
将棋の国の昔話
お姉ちゃんが二人に教えた『将棋の国の昔話』、当時の世界で起きていた様子を表していると思われます。
簡単に言うと…「頭の良い人がいると思ったらそれがロボットで、そのロボットに対抗するために人間は新たなロボットを作ったものの、頭の良いロボットは拮抗し合って睨み合う展開に。しかしあるとき、1体のロボットが行動を開始、次々と駒の能力を奪っていくと、今度は違うロボットが不要になった駒を全消し。最終的には人間がいなくなり、役割をなくしたロボットは動かなくなった」という話です。
当時の日本で起きたことを時系列にする
「起きた出来事」を時系列を整理すると、以下のようになっていたと思われます。
- 世界的に燃料不足や物資不足になり、人々の生活は困窮していった。
- クレアたち宇宙飛行士が遭遇した「大規模な太陽フレア」が発生し地上の電源が一時的に消失。
- 電気は回復したものの、政府が緊急事態宣言が発令しなければいけないようなことが起こる。
- 状況はさらに悪化し、船による避難が行われることになる。しかし、横須賀港で爆発が起きる。
- 車や機械が一斉に動かなくなってしまう。
- 人々は逃げ場を失い、人類はいなくなってしまった。
大きく分けると6段階の出来事が次々に起きていたと予想しました。ではここからは、なぜその考えに至ったのかを詳しく書いていきます。
世界的に燃料不足や物資不足になり、人々の生活は困窮していった。
まず、日本だけではなく世界で物資不足などによりエネルギー転換をせざるを得ない状況になったと考えられます。その結果がバイオガソリンや風力発電、世界的に見ると宇宙開発の活発化に繋がります。
なぜ物資不足などが起こったのか?『将棋の国の昔話』から考えると、どこかの国のAIロボットが外交戦略として輸出を制限するなどの強硬策を取った可能性があります。これに対抗するため、各国は高度なAIロボットに依存し始めたのかもしれません。
ここでAIロボットなどの開発競争が激化し、『化石から恐竜を復活させるプロジェクト』や「警備犬ドローン」などが生まれたのでしょう。しかし、AI同士の高度な牽制により物流は停滞。そして、物資不足は深刻化していき徐々に営業ができなくなる店や施設が出てきたり、エレベーターの修理も出来ないようになってきたと思われます。
「大規模な太陽フレア」から緊急事態宣言の発令へ
クレアたち宇宙飛行士は、日本で起きた横須賀港の爆発などは知らないようでした。また、クレアが宇宙船から見た日本は横須賀港周辺も光があり明るく、あのような爆発が起きた後とは考えられません。さらに、他の宇宙飛行士たちが「今年は太陽フレアがよく起きる」という話をしていましたが、そこで「横須賀の爆発がー」や「車が動かなくなった」とは言っていません。となると、クレアたちが遭遇した大規模太陽フレアは、時系列的にかなり早い段階で起きていたと思われます。
この大規模太陽フレアにより、緊急事態宣言が発令されるようなことが起こったと仮定しました。
大規模太陽フレアの影響で、研究所など重要な施設の電源も失われたはずです。ここで研究所から「危険なウイルス」が放出されてしまったのではないでしょうか?クレアたち宇宙飛行士もおそらく感染していた、このウイルスによる「謎の体調不良」が拡大し、政府は緊急事態宣言を発令。国民は外出に制限が設けられ、自衛隊による食料配給などが行われるようになったはずです。
状況はさらに悪化し船による避難が始まる
当時の人々の様子だと、船での脱出は計画的に行われ「いつかは帰ってこれる」と思っているようです。切羽詰まった雰囲気ではないです。当時のウイルスは、クレアたち宇宙飛行士が次々と死んでいった今の時代のように「すぐ死ぬ」ものではなく、「数年かけてゆっくりと死に至る」ものだったのではないでしょうか?もしそうなら、当時の人々が暴動を起こすようなパニックにならず、冷静だった理由がわかります。
そして、「このまま日本にいては必ず死んでしまう」。とはいえ、実際に死に至るまでには数年かかることから、船での避難が計画的に、そこまで焦らずに行われた理由にも繋がります。死に至るまで数年かかるから、その数年の間に避難すれば大丈夫……と。
ウイルスの恐怖はじわじわと何年も続いた可能性があります。即死しないからこそ、暴動を起こすよりも「政府の計画」にすがり、数年かけてでも順番待ちをして、船に乗ろうとしたのかもしれません。陸に残れば、汚染された環境でゆっくりと衰弱していくだけ。でも、船に乗ってフィリピンにある軌道エレベーターまで行き、そこから宇宙へ脱出すれば助かるかもしれない――。
横須賀港の爆発(攻撃)はなぜ起きたのか?
避難誘導が行われている横須賀港を攻撃し爆発させる理由として考えられることは3つあります。
- ウイルス感染を防ぐために、人々を一網打尽にする。
- 敵対勢力からの攻撃。
- さらなる悲劇を未然に防ぐため。
まずはウイルス感染を防ぐという意味で爆発させたという説です。感染した可能性がある人々を船で避難させると避難先で感染が広がる可能性があり、やむを得ず横須賀港もろとも避難民を攻撃で一網打尽にしたのかもしれません。ですが、船での避難は横須賀港以外でも行われていたので、横須賀港以外でも同じような攻撃があったはずですが、そのような痕跡は作中には出てきていません。
次に敵対勢力からの攻撃という説。これは単純です。「人を大量に殺すためには、人が集まっている場所を攻撃すればいい」という考えで、避難が行われ人が大量に集まっている横須賀港を狙い撃ちしたということです。横須賀港はなぜか炎上しており、そこで自衛隊と敵対勢力の戦闘が起きていたのかもしれません。
最後に挙げたい説は「さらなる悲劇を未然に防ぐため」というもの。「カルメ焼き」のシーンが伏線であれば、横須賀港の爆発を示唆しているのかもしれません。あのクレーターが出来るほどの「攻撃」は、もっと大きな「危機」から防ぐためのものだったのではないでしょうか?横須賀港が炎上していましたが、あの炎上により、さらに危険なウイルス等がばら撒かれる可能性があった、と。そのウイルスがばら撒かれてしまうと横須賀周辺だけではなく、地球が終わりを迎えてしまう。だからそのウイルスごと消し去るために「攻撃」で跡形もなく消し去った、と。
車や機械が一斉に動かなくなったのはなぜ?
ここで忘れてはいけないのが「横須賀港が爆発した時には船が動いていた」ということです。「一斉に車(機械)が動かなくなった」ことが先に起きていれば船は動かないので、船での避難はできていなかったはずです。しかし、横須賀港が爆発した時にはまだ船は動いていました。あとはサイボーグのシュワちゃんも元気に動いていました。ということは、この段階では車などの機械類は動いて、人類もまだまだ元気!
では、なぜここから「車を動かなくさせるようなこと(EMP攻撃など)」が必要になってくるのでしょうか?
おそらく、横須賀港の爆発を知った人々(東京や神奈川にいた人)は慌てて車で地方へ逃げたでしょう。一斉に車による「自主的避難」が行われたとすると、緊急事態宣言が発令されるような状況で、あのような大渋滞が起きていたことにも納得がいきます。
そしてここで「橋の破壊」が行われたと予想します。ウイルス感染の拡大を恐れたなんらかの組織が、感染源である東京から地方へ逃げようとする人たちの移動手段を奪うため、橋を壊したのではないでしょうか?さらに、その橋の破壊を止めるために別組織のAIロボットが来てプラズマレーザー攻撃をし、その流れ弾がビルの横っ腹に当たった……と。
もしくは、「AIロボットが横須賀港を攻撃した」と察知した組織が、AIロボットが侵攻してこないように橋を壊した可能性もあります。アイリが重くて泳げないことから、当時のAIロボットも同様に重くて泳げなかったと思われます。となると、AIロボットの移動を制限するには橋を壊して「川を渡れないようにする」のが手っ取り早いです。そういう理由で、人類をAIロボットから守るために誰かが橋を壊したのかもしれません。
国や自衛隊などの人間側は「これら一連の悲劇はAIロボットが生んだもの」と考えていたのかもしれません。とすると、これ以上の悲劇を生まないためにもAIロボットの動きを止める必要があります。ですが、小規模な太陽フレア(もしくはEMP攻撃)だけではAIロボットの動きは止まりませんでした。どうにかしてAIロボットの動きを止めることを最優先した結果、車や機械が動かなくなるほどの大規模なEMP攻撃を仕掛けたのではないでしょうか?
そして、その大規模EMP攻撃を仕掛けたのは自衛軍ということになってきます。まるで車や機械が動かなくなることを予見したかのように、草津にエイト(と車やオスプレイ、機材など)は運ばれています。ということは、この大規模EMP攻撃が行われることを知った自衛軍所属の人が、エイトをあらかじめ草津に移動させたと推測できます。
「自衛軍(自衛隊から派生した組織)=国直轄の部隊」と考えると、国民を守るための最終手段として行ったことにも納得がいきます。自衛軍はエイトという高性能ロボットを作っていますから、この事態の「黒幕」がAIロボットだということも知っていたのでしょう。
逃げ場を失った人々
AIロボットが動かなくなっても、謎のウイルスの感染は止まらなかったのでしょう。自衛軍の大規模EMP攻撃は、結果的に黒幕であるAIロボットの動きは止めたものの、ウイルスの感染は止めることはできず、さらには人々が逃げる手段すら奪ってしまった……。そう考えることが出来ます。
実際、動かなくなった機動戦闘車の操縦士は、遺体が回収されていません。自衛隊(軍)ですら隊員の死体を回収できない状況ということは、「車が動かなくなった」ことが終末直前に起きたこと、もしくは終末を決定づけたことと言えます。
車も動かない、通信手段もなくなりどこに逃げればいいのかもわからない、船も動かない。そうなったら人々はただウイルス感染による死を待つのみです。初代アキバタローは、この死を待つまでの間にAIアキバジローを作り、最終的には「(死ぬまでに)間に合った」というメモを残したのではないでしょうか?
そして、横須賀港の爆発で地球の地軸がズレて環境変化が起き、温暖な地域でしか住めない動物たちが日本でも生きれるようになった、と。
まとめ
というわけで、【三沢基地編】までを見て、人類がいなくなった理由を時系列から考察してみました!
「クレアが遭遇した太陽フレア」と「車が動かなくなった太陽フレア(EMP攻撃)」あたりの時系列を考えるのにかなり悩みました。

