『終末ツーリング』の主人公、ヨーコ。
常に明るく前向きな彼女ですが、その出自には多くの謎が隠されています。
この記事では、「主人公でありながら最大の謎」とも言えるヨーコについて、深く掘り下げていきます。
ヨーコについて
本作の主人公であり、終末世界でも常に明るい性格の少女。
これまでずっとシェルターで過ごし、地上に出ることに強い憧れを抱いていたため、終末を迎えた世界ですら、すべてが新鮮に映り、ウキウキしながら旅を楽しんでいます。
SNSアプリ【つーりんぐらむ】に投稿された “お姉ちゃん” の足跡を辿りながら、最終目的地である北海道を目指しています。
アイリのような「データバンク」は持っておらず、知識はシェルター内でお姉ちゃんから学んだことが基礎となっています。
袋麺の賞味期限を見ても意味がわからない様子から、現在の西暦など、世界の終末に関する具体的な情報は教えられていないようです。
一方で、人類がいなくなったという事実は認識しています。
愛車はヤマハのセロー。
シェルターでの授業で運転技術と修理技術を習得しており、旅の途中でバイクが故障した際は、廃墟となったバイク屋に残された部品や工具を駆使して修理します。
ちなみに、このセローは電動仕様に改造されており、ソーラーパネルで発電・充電しながら旅を続けています。
ビッグサイトでコミケ参加者の熱意を感じ取ったり、ホンダの施設で技術者たちの魂に触れたりと、作り手たちの情熱に共感する場面がたびたび描かれます。
また、時折見る【夢】の中で、人類がいなくなる前の世界の風景を垣間見ており、何らかの記憶を断片的に有していることが示唆されています。
シェルターを出てからしばらく経ちますが、一度も病気にかかったことがありません。
パンク修理で指先を怪我した際も、その後少し眠っただけで傷が完全に治癒していました。
しかし、その一方で火山ガスを吸い込んで3日間も気を失うなど、人間らしい脆弱さも持ち合わせています。
シェルターではサバイバル技術のほか、数学の一次関数など、ごく普通の学校で習うような勉強もしていたようです。
英語も学んでいたものの、苦手だったと語っています。
しかし、自分がいつからシェルターで生活していたのかは、覚えていません。
お酒には非常に弱く、少し飲んだだけですぐに寝てしまい、翌朝にはひどい二日酔いで嘔吐してしまいました。
その情けない様子をアイリに動画で撮影され、後で見てひどく落ち込み、「もう二度とお酒は飲まない」と固く誓うのでした。
盛岡では、夢を見ていないにもかかわらず「石割桜を見たことがある」と発言するなど、徐々に夢以外の形でも過去の記憶らしきものがフラッシュバックするようになっています。
秋田県では、なまはげのお面を見つけた瞬間に人格が豹変。
それまで洗濯や食事当番をサボりがちだったアイリを、鬼の形相で厳しく叱りつけます。
そのあまりの迫力に、アイリはもうサボらないと約束。
一方のヨーコには、なまはげ化していた間の記憶が一切ありませんでした。
クローンなのか?
まず確実に言えることは、彼女が世界の終末を経験し、シェルターに避難して生き延びた「当時の人間」ではないということです。
怪我の治りが異常に早いことから、その身体には何らかの科学的な処置が施されている可能性が非常に高いです。
そして何より、ヨーコ自身にはシェルターで暮らし始める前の記憶がありません。
これらの事実から、「現在の身体と記憶の状態で生み出されたクローン」と考えるのが自然かもしれません。
お姉ちゃんの実の妹のクローン、あるいはお姉ちゃん自身のクローンという可能性も考えられます。
作中では「化石のDNAから恐竜を復活させるプロジェクト」が存在したことが語られており、当時の日本に高度なクローン技術があったことは間違いないでしょう。
あのシェルターを建設できた組織であれば、クローン技術を保有していても何ら不思議はありません。
アイリと同じロボット?
この部屋番号だけを単純に解釈すれば、アイリがAI-Re06型の46号機、ヨーコがY型の21号機、というロボットの識別番号のようにも見えます。
しかし、旅の中でのヨーコの様子を見ていると、彼女が完全なロボットだとは考えにくい点が多くあります。
アイリが平気だった火山ガスで3日間も意識を失っていますし、ビームのような兵器も内蔵していません。
逆に「人間らしさ」という点で見ると、決定的な場面があります。
三沢基地でクレアの相棒ロボットが、近づいてくる二人に対して「生存者を発見しました!」と反応したシーンです。
このロボットが人間とロボットを区別できると仮定すれば、「生存者」とは、確実にロボットであるアイリではなく、ヨーコを指しているはずです。
これらの点から、ヨーコがアイリと同じ完全なロボットである可能性は低いと言えるでしょう。