『終末ツーリング』のもう一人の主人公、アイリ。
時に無邪気で、時に核心に触れるような言動を見せる彼女の正体について、今回は深く掘り下げていきます。
アイリについて
ヨーコが運転するバイクの後部に乗り、共に終末世界を旅するロボットの少女。
右腕からプラズマビームを放つことができる正真正銘のロボットですが、人間と同じように食事や水を摂取して活動しています。
ロボットである以上、何らかの方法でエネルギーを補給しているはずですが、作中に充電しているような描写はありません。
夜もヨーコと一緒に眠ります。
「データバンク」という機能を持ち、歴史や専門用語といった基本的な知識を備えています。
しかし本人曰く、それは「データベースを読んでいるだけ」のことで、応用力ではヨーコの方が優れているようです。
また、スキャンによって危険生物の存在を探知したり、ラジオの電波を感知したりする便利な機能も搭載しています。
身体は重いため泳げませんが、タイヤを浮き輪代わりにすれば水に浮ける程度の重量です。
旅の途中、ヨーコがセローのメンテナンスのために一度シェルターへ帰ろうと提案した際には、どこか戻りたくなさそうな態度を見せました。
シェルターでの生活よりも、旅を続ける日々のほうを気に入ったようです。
エイトとの交流を通じ、感情が豊かになっていく様子も描かれています。
海ほたるでは、一時的にフリーズするトラブルに見舞われました。
これは彼女の型式である「AI-Re06型」のプログラムに起因するバグだったらしく、この一件がきっかけで、つくばの研究所でメンテナンスを受けることになります。
バイクの運転は、身長が足りないためできません。
しかし、もてぎサーキットでVRによるシミュレーションを体験した後は、草津で実際に車を運転してみせるなど、高い学習能力を発揮しています。
吉見百穴では異星人と遭遇し、宇宙船へ連れて行かれるという驚きの展開も。
異星人がヨーコではなくアイリとのみコンタクトを取ったことから、彼女には異星人と交信できる何らかの特殊な機能が備わっているのかもしれません。
ビームを発射した後は、エネルギーを消耗するのか「お腹がすいて動けない」状態に陥ってしまいます。
やはり、エネルギー源は食事や飲み物から得ているのでしょうか。
旅の道中、野生の鳥の巣から見つけた卵が孵化し、生まれたヒナに親だと認識されてしまいます。
「フォアグラ」と名付けて育てることに夢中になりますが、その結果、洗濯や食事当番をサボるようになり、ついには「なまはげ化」したヨーコに叱られてしまいます。
そのあまりの迫力に、アイリはもうサボらないことを固く約束するのでした。
アイリは何者なのか?
アイリには「AI-Re06型」という型式番号があり、彼女が人工的に作られたロボットであることは明白です。
開発したのは、お姉ちゃんが所属していた組織だと考えられます。
では、アイリは何のために造られたのでしょうか。
単純に考えれば、ヨーコをサポートするための護衛兼パートナーロボット、ということになります。
しかし、そう結論付けるのはまだ早いかもしれません。
草津で出会ったエイトは「自衛軍に造られた暗殺兵器」でしたが、アイリはそのエイトと同じデータベースを使用していることが判明しています。
これは、アイリもまた、元々は自衛軍によって開発された兵器であった可能性が高いことを示唆しています。
右腕からビームが放たれるという事実も、その説を裏付けていると言えるでしょう。