【終末ツーリング考察】 お姉ちゃんはヨーコの実姉なのか?自衛軍の人間でもう生きてないAI?【ネタバレ】

 

『終末ツーリング』の物語の鍵を握るキーパーソン、「お姉ちゃん」。

その姿はモニター越しにしか現れず、実際に存在する人物なのかさえ定かではありません。

今回は、謎に包まれた彼女の正体について考察していきます。

 

 

お姉ちゃんとは?

「お姉ちゃん」は、ヨーコとアイリがシェルターで生活していた頃、二人のお世話をしてくれていた存在です。

ただし、3人で一緒に暮らしていたわけではなく、お姉ちゃんは常にモニター越しにしか姿を見せませんでした。

そのためヨーコは、お姉ちゃんについて「いるけど、直接会ったことはない」と表現しています。

 

シェルター内はインターネットが通じていたため、モニター越しのコミュニケーションが可能でしたが、地上に出てからは電波がないため連絡が取れなくなっています。

地上に出てから唯一連絡が取れたのは、【海ほたる編】で一度だけメールが届いた時のみです。

 

 

つーりんぐらむってなに?

【つーりんぐらむ】は、InstagramのようなSNSアプリです。

人類がまだ健在だった頃は、バイク乗りたちがツーリングの様子を投稿する人気のアプリだったようです。

 

しかし現在、このアプリで見ることができるのは「お姉ちゃんが投稿したもの」だけになっています。お姉ちゃん以外の投稿は一切閲覧できません。

ヨーコはこの【つーりんぐらむ】の投稿を見て地上への憧れを抱き、ツーリングの聖地とされる北海道を目指すきっかけとなりました。

 

ちなみに、お姉ちゃんの投稿には2035年~2039年の日付が記されています。

 

 

今はもう生きていない?

ひかわ
人類がいなくなってから、ヨーコたちがいる現在まで、かなりの年月が経過しているよね。だとしたら、お姉ちゃんが若いままなのはおかしくない?

 

お姉ちゃんが残した【つーりんぐらむ】の投稿は2035年~2039年のものです。

その時点で、彼女はすでに大人の女性でした。

 

そして現在の地上は、何十年、あるいは何百年もの時が経過したとしか思えないほど、自然が再生しています。

 

となると、もしお姉ちゃんが人間ならば、現在は少なくとも老婆になっているはずです。

しかし、シェルターのモニターに映っていたお姉ちゃんは、非常に若々しい姿のままでした。

見た目が全く老いていないのは、明らかに不自然です。

 

 

ひかわ
お姉ちゃんはAIだったりクローンだったりするのかな?

 

もしクローンであれば、直接二人に会うことも可能だったはずです。

しかし、彼女は一貫してモニター越しにしか姿を見せませんでした。このことから、「物理的な身体が存在しないAIのような存在」である可能性が考えられます。

 

ただし、会えないほど遠く離れた場所にいるクローン、という可能性も完全には否定できません。

 

 

お姉ちゃんは組織の人間?

ひかわ
あれだけの規模のシェルターを作ったり、時々「私たち」という言い方をしたりするから、何らかの組織に属しているんじゃないかな?

 

一個人のマッドサイエンティストが、あのシェルターやアイリのような高性能ロボットを独力で作り上げたとは考えにくいです。

そうなると、彼女が何らかの組織に所属していたと考えるのが自然でしょう。

 

では、どんな組織なのでしょうか。

作中では、当時の日本に少なくとも2つの大きな研究組織があった可能性が示唆されています。

  • 化石から恐竜を復活させたり、つくばを基盤に活動していた組織
  • 暗殺ロボットを作っていた「自衛軍」という組織

 

まず考えられるのは、猪苗代湖で化石からDNAを採取し、恐竜(イナッシー)を復活させた組織です。

ヨーコの夢の中で、お姉ちゃん自身が「あの子は、私たちが――」と、この組織の存在をほのめかしています。

 

しかし、お姉ちゃんはこの恐竜復活プロジェクトに直接は関わっていなかった可能性があります。

【つーりんぐらむ】で猪苗代湖を訪れた際、お姉ちゃんは投稿のタグに「#フタバスズキリュウ掘りたい」と記していました。

ヨーコが現在、猪苗代湖で見たイナッシーは、まさにそのフタバスズキリュウの姿をしています。

 

フタバスズキリュウを復活させた張本人が「フタバスズキリュウを掘りたい」と投稿するのは、少し辻褄が合いません。

プロジェクトの中心にいれば、化石やDNAは嫌というほど目にしているはずだからです。

このことから、お姉ちゃんが所属していた組織がイナッシーを作ったものの、彼女自身はそのプロジェクトには参加していなかった、と推測できます。

 

 

ひかわ
自衛軍ってなんか危なそうな組織だけど…。

 

「自衛軍」は、エイト(第8世代量産版潜入用人型兵器)、すなわち暗殺ロボットを開発したとされる組織です。

このエイトは、アイリとの会話の中で「同じデータベース」を使用していることが判明しています。

これは、エイトとアイリが同じ組織によって作られたことを強く示唆しています。

 

そして、そのアイリのお世話をしていたお姉ちゃんもまた、「自衛軍」に所属していた、という結論に至ります。

アイリがビーム兵器を搭載している点も、兵器開発組織との関連を思わせます。

 

 

ひかわ
もしかして、「自衛軍」と「恐竜復活プロジェクトの組織」は、同一の組織だったりして…?

 

作中で「自衛軍」という単語は一度しか登場しないため、この組織が当時の日本の最先端研究をすべて担っていた可能性も考えられます。

兵器開発を行う「自衛軍」が恐竜を復活させる、という点に違和感を覚えるかもしれません。

しかし、恐竜復活で得られたクローニング技術などを、人間の再生や食料生産といった別の目的へ応用しようとしていたのであれば、説明がつきます。

 

あるいは、組織の名称が途中で変わったのかもしれません。

「日本最先端技術研究機関」のような平和的な名前から、世界の情勢が緊迫するにつれて「自衛軍」へと変貌を遂げた、という可能性も考えられます。

 

 

お姉ちゃんは何をしたいのか?

ひかわ
結局、お姉ちゃんはヨーコとアイリを地上に送り出して何をしたかったんだろう?

 

ヨーコとアイリは、シェルター内で多岐にわたる教育を受けていました。

サバイバル技術、バイクの運転、そして一般的な教養。そのすべてが、二人を地上へ送り出すことを前提とした教育のように思えます。

 

しかし、お姉ちゃんは「今は外に出られない」「外は危険だから」と、なかなか二人を地上へ出そうとはしませんでした。

ところがある日、突然「安全が確認されたのよ」と告げ、二人を地上へと送り出します。

 

その際、彼女たちに具体的な目的や使命は何も与えられませんでした。

 

明確な目的も与えず、ただ二人を地上に解き放ったお姉ちゃん。

唯一残した【つーりんぐらむ】の軌跡を、ヨーコに辿ってほしかったのでしょうか。

 

お姉ちゃん=ヨーコなのか?

ひかわ
作中に何度も「Bさんだと思ったらAさんだった…」みたいな描写が出てくるよね。なんかの伏線なんだろうか?

 

ブロッケン現象の件が代表的な例ですが、他にも「歴史上の人物を間違えて覚えていた」など、「Bさんだと思っていた人が実はAさんで…」というシーンがよく出てきます。

この伏線シーンを単純に考えると、ヨーコがお姉ちゃんだと思っていた人物はお姉ちゃんではない、「お姉ちゃん=自分(ヨーコ)」という説にぶつかります。

 

しかし、この説を邪魔してくるのが「恋人岬で南京錠に書いた絵」です。

もしも「お姉ちゃん=ヨーコ本人」であれば、南京錠に2つの絵が描かれているのはおかしいです。

恋人岬には誰かもう一人と行っていたと思われます。

 

こうなってくると、もう一人の登場人物である「アイリ」の存在をもう一度考え直す必要が出てきます。

「アイリ=ヨーコ(お姉ちゃんにとっての妹)」だったとしたら、いろいろと辻褄が合ってくるのではないでしょうか。