ヨーコたちが草津温泉で出会った謎の少年、「エイト」。
今回は、彼の存在から物語の謎を紐解く考察をしていきます。
エイトとは?
一見するとごく普通の少年ですが、その正体はアイリと同じく、極めて高性能な人型ロボットです。
火山ガスによって倒れてしまったヨーコを助けた、心優しい一面も持っています。
エイトはもともと草津で生活していたわけではなく、5年前にセットされたタイマーによって起動しました。
それまではポッドの中でコールドスリープ状態だったのです。
目覚めてからはプログラムに従い、草津を再び人が住める状態にするための修復作業を続けていました。
しかし、48時間ごとにポッドでエネルギーを補給する必要があり、そのポッドは草津の地熱発電に依存しているため、彼は草津から離れることができません。
その正体は、自衛軍が作り出した【潜入用人型兵器】、すなわち暗殺用ロボットでした。
そのため、ひとたび自閉モードに陥ると、本来のプログラムである「暗殺」に特化した動きを見せます。
ヨーコたちと共に過ごしたいという感情の昂りが制御不能となり、結果として自閉モードを発動。
最終的には、アイリのレーザー攻撃によって下半身を破壊されてしまいました。
エイトを草津に運んだのは誰?
エイトが拠点としていたのは、輸送機オスプレイの内部でした。
機内には様々な装置が設営されており、一般人が単独でこれを実行したとは到底考えられません。
エイトを開発した組織の人間が関与していると考えるのが自然でしょう。
オスプレイの操縦や、現地での地熱発電システムの設営には、高度な知識と技術が不可欠です。
一人の天才がすべてをやり遂げた、という可能性を除けば、単独での作戦行動とは考えにくいです。
となると、開発元である「自衛軍」という組織そのものが、エイトをこの時代で生きられるように仕向けた、と考えるべきでしょうか。
もしかすると、自衛軍も本心では暗殺ロボットなど作りたくなかったのかもしれません。
自衛軍が実は「善良な組織」だったと仮定すれば、この考えも筋が通ります。
暗殺対象は誰だ?
エイトは『人間社会に溶け込んでターゲットを抹殺する』という目的で作られた暗殺用ロボットです。
しかし、「人類から殺すべき相手がいなくなった」という理由で、何者かがエイトのプログラムを書き換え、草津に配置したようです。
自衛軍が開発したということは、日本の組織によって生み出されたロボットと考えられます。
一方で、エイトの外見は外国人の少年のようです。
このことから、暗殺のターゲットは日本国外の人物だったと推測できます。
もし当時の日本が特定の国と緊張関係(冷戦状態)にあったとすれば、このような潜入用暗殺ロボットを開発した動機も理解できます。
エイトはいつ作られたのか?
エイトはアイリと同じく、見た目は完全に人間と見分けがつきません。
一方、横須賀港が攻撃された際に登場した、自衛隊(?)の軍用サイボーグ「ロボお父さん」は、いかにもロボットという外見です。
この両者の技術レベルを比較すると、エイトは横須賀港への攻撃から、かなり年月が経過した後に作られたと推測できます。
つまり、あの攻撃の後もしばらく人類は存続しており、人間同士で争うだけの〝余力〟はあった、と言えるでしょう。
エイトが草津に運ばれた時には、もう人類が終末を迎える直前だったのかもしれません。
草津にオスプレイや軍用トラックを運び込んでも、誰にも咎められることなく実行できる状況だったのですから。
エイトが作られた時期を考察していくと、人間同士の大きな争いはすでに終結していた可能性が高いことがわかります。
もし戦争(冷戦)が続いていれば、エイトは暗殺兵器として利用されたままだったはずです。
しかし、実際には軍事利用は中止され、エイトを未来へ託そうとした人物が存在します。
これらの情報から導き出されるのは、【人間同士の大きな争いは終結した。しかし、その後、何らかの理由で人類は姿を消した】という事実です。
争いごとがなくなったはずの世界で、人類は忽然と姿を消してしまいました。
これは、人類が戦争という直接的な要因以外で滅亡したことを強く示唆しているのではないでしょうか。